全1248文字
PR

 土木学会の試算で、南海トラフ地震が発生した後の経済損失が20年間の累計で少なくとも1240兆円に及ぶことが分かった。建物やインフラの直接的な被害額を算出した従来の推計と異なり、災害の影響で生産や所得などが減少する間接的な経済損失を中長期にわたる視点で推計した。防災・減災対策の経済効果も示し、政府などが提唱する「国土強靭化」の早期実現を求めている。土木学会が6月7日に報告書を公表した。

災害による被害のイメージ
災害による被害のイメージ
経済損失は間接被害の一部に当たる(資料:土木学会)
[画像のクリックで拡大表示]

 2つの巨大地震と津波、3都市圏の大規模な高潮・洪水を対象に、一定期間の経済損失や税収の減少額を試算した。地震と津波の被害推計では阪神・淡路大震災のデータを基に20年間、高潮と洪水による水害は2015年の鬼怒川の堤防決壊を基に14カ月間としてそれぞれ最低限度の被害額を求めた。

 南海トラフ地震の場合、道路網の寸断や生産施設の損壊などで1048兆円、港湾の機能不全などで192兆円の経済損失が生じる。なお、内閣府は地震や津波による建物損壊など直接的な被害を170兆円と試算している。両者を合わせると、南海トラフ地震の被害総額は1410兆円に上る。

 一方、試算の対象期間が短い高潮や洪水の被害額は地震に比べて少ないが、大阪湾を巨大な高潮が襲った場合の経済損失は65兆円に及ぶ。洪水では東京の荒川の堤防が一部決壊するパターンを想定し、経済損失は26兆円に上るなどとしている。