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 IHヒーターと同じ原理で加熱するだけで、損傷したアスファルト舗装が健全な状態に戻る――。そんな自己治癒型のアスファルト舗装の技術が、今後1、2年のうちに日本で実装されそうだ。

 會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は、オランダのデルフト工科大学から生まれた舗装技術を持つベンチャー企業エピオンと、2018年6月末にフランチャイズ契約を締結。エピオンが持つ自己治癒型のアスファルト舗装の技術を日本で展開する法人を、會澤高圧コンクリートが単独で設立し、国内の事情に合わせた技術改良などを加えたうえで導入を進める計画だ。

オランダの高速道路A58において、400mの区間にわたって自己治癒型のアスファルト舗装を施工している様子(写真:エピオン)
オランダの高速道路A58において、400mの区間にわたって自己治癒型のアスファルト舗装を施工している様子(写真:エピオン)
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 アスファルトを自己治癒させる仕組みとは、次のようなものだ。まずはアスファルト舗装を施工する際に、砂や石などの骨材とそれらを接着するアスファルトを混ぜた材料に繊維状の微細な鉄を混入する。

 繊維状の鉄以外の材料は、通常のアスファルト舗装に用いるものと同じだ。鉄の混入量は密粒度アスファルト混合物を使う場合と排水性能の高いポーラスアスファルト混合物を使う場合とで異なるものの、重量比で10%程度を混ぜる。

舗装には繊維状の鉄が含まれているので、磁石を近づけると緩やかに引きつけられるという。オランダ国内で試験施工されたデ・クローン通り(写真:會澤高圧コンクリート)
舗装には繊維状の鉄が含まれているので、磁石を近づけると緩やかに引きつけられるという。オランダ国内で試験施工されたデ・クローン通り(写真:會澤高圧コンクリート)
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 アスファルト舗装は荷重や紫外線といった外部環境からの影響を受けると、骨材を接着するアスファルトの機能が低下してくる。このように接着機能が低下したタイミングを見計らって、IHヒーターの加熱機構を備えたけん引型の特殊車両を補修したい箇所に走らせる。