鹿島と古河ロックドリル(東京都中央区)は、NATM工法で地山補強に用いるロックボルトの一連の施工を機械化するシステムを共同で開発した。3本のブームを持つドリルジャンボを改良。削孔からモルタルの注入、ロックボルトの挿入までを1台でこなす。北海道開発局が発注した大狩部トンネル工事に適用し、ロックボルトの施工にかかる時間を25%短縮した。
NATM工法でトンネルを掘削する場合、数メートル掘り進めるごとに周方向にロックボルトを打ち込んで地山を補強する。ロックボルトの施工に要する時間は、断面の大きさなどによるものの、トンネル工事全体の約40%と大きな割合を占める。切り羽の掘削や削孔はドリルジャンボなどを利用した機械化が進んでいるのに対し、ロックボルトの打ち込みは人力に頼る作業が多いことが一因だ。
ロックボルトの施工は、削孔とモルタル注入、ロックボルト挿入の3つのステップに大別できる。従来、削孔にドリルジャンボを使い、それ以外のステップは人力で作業していた。ロックボルトは長いもので6mほどあり、重量は約20kgだ。挿入には時間がかかるだけでなく、2人がかりの作業となるので人手を要する。作業員が切り羽に近づく必要があるうえ、トンネル上部に差し込むには高所作業を伴うので安全性にも課題があった。
開発したシステムでは、3つのステップ全てをドリルジャンボで施工する。既存のドリルジャンボが持つ3本のブームのうち1本をモルタル注入専用に改造。もう1本のブームにロックボルトの挿入機構を取り付けた。残りのブームには通常と同じ削孔ドリルを備える。