宮城県が塩釜漁港で進めている防潮堤工事で、掘削した岩山が30年ほど前の漁港埋め立て時に保存を約束した島の一部だったことが市民の指摘で分かった。県は指摘のあった7月10日に掘削を中断し、残った部分の保存方法や残工事の対応について検討している。
指摘を受けたのは、塩釜市新浜町で進めている「塩釜漁港新浜町三丁目岸壁災害復旧外工事」。海抜3.3mの防潮堤(延長429m)のほか、岸壁(延長538m)や臨港道路(延長570m)を整備する。
掘削した岩山は「竜頭島」と呼ばれ、漁港整備に伴う1980年代の埋め立て時に残した小さな島の一部に当たる。埋め立て時に取り崩す予定だったが、市民からの要望で陸地の一部として残していた。岩山の大きさは、高さ約6m、長さ約15m、幅約10mだった。
防潮堤に遮られて行き止まりになる臨港道路に迂回路を設けるため、7月6日から重機を入れて岩山の掘削を始めた。中断するまでの間に、岩山全体の約4分の1を崩していた。