国土交通省国土技術政策総合研究所と九州地方整備局は共同で、降雨がない中で斜面が突然崩壊する「無降雨時崩壊」の発生メカニズムや危険な斜面を抽出する研究に乗り出す。両者が事務局となって「無降雨時等の崩壊研究会」を立ち上げ、8月21日に第1回の会合を開いた。
無降雨時崩壊とは、雨が降りやんだ後や全く雨が降っていない時に斜面が崩壊する現象のこと。研究会を設立するきっかけとなったのは今年4月11日未明、大分県中津市耶馬渓(やばけい)町で発生した土砂災害だ。民家の裏山が6万m3以上にわたって崩れ、3世帯6人が犠牲となった。
県は現場周辺を土砂災害特別警戒区域に指定していたものの、崩壊当時は住民に向けて避難勧告や土砂災害警戒情報などを出していなかった。崩壊の前日や当日に雨が全く降っていない中での出来事だったからだ。
耶馬渓町で崩れたのは火砕流台地の周縁部。同様の無降雨時崩壊は2015年に鹿児島県垂水市で、10年に同県南大隅町でも、それぞれ発生している。