全1733文字
PR

提案者には必ずプリペイドカード

 寿建設では「私の提案」といって、現場の改善などを従業員や作業員から上げてもらう制度がある。鉄筋ハンガーは、現場の困りごとを解決するためにそこで提案された技術だ。

 「20年前に先代の父が作った制度だったが、ずっと形骸化していた。そこで4年前に復活させた。提案は毎週の会議で議論し、すぐに評価するようにした。提案者には漏れなく参加賞でプリペイドカードを渡し、最も良い提案には最大50万円まで賞金を出す」。こう話すのは寿建設の森崎英五朗社長だ。

右が寿建設の森崎英五朗社長。左は新和商事の三浦博英東北支店長(写真:日経コンストラクション)
右が寿建設の森崎英五朗社長。左は新和商事の三浦博英東北支店長(写真:日経コンストラクション)
[画像のクリックで拡大表示]

 復活させた初年度は100件以上の提案が殺到。今も毎年60~70件程度の提案がある。実際に製品になったアイデアは、鉄筋ハンガーが2件目だ。第1弾は「ハツリ・ガード」といって、はつり作業中にブレーカーに簡単に設置できる飛散防止の商品だった。

ハツリ・ガード。ブレーカーに簡単に設置でき、コンパクトなために持ち運びも便利だ(写真:山崎エリナ)
ハツリ・ガード。ブレーカーに簡単に設置でき、コンパクトなために持ち運びも便利だ(写真:山崎エリナ)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社の岡口幸一工事支援部長は、「商品になるのはごくわずかだが、作業員が考えて仕事に従事するようになったのが効果としては大きい。これまでの仕事のやり方に満足せず、もっと改善の余地があるのではないかという姿勢で取り組んでくれる」と話す。

 100円ショップやホームセンターなどへ寄って、アイデアをまずは形にしてみる社員も少なくないという。森崎社長は、「何度もアイデアを出していくうちに、トレーニングされるみたいだ。1つの目的改善のアイデアが、知らぬうちに別の効果を生む傾向がある。例えば、楽にするためのアイデアが、安全にも貢献するといった具合だ」と明かす。

 「提案制度の良い点は、コミュニケーションが現場で生まれるということだ」(岡口部長)。作業員は意外と、「こういうことができると楽なのに」というアイデアを持っている。現場代理人などがその意見を集約して代理で提案することで、コミュニケーションが生まれ、さらに現場の雰囲気も良くなる。

寿建設の岡口幸一工事支援部長(写真:日経コンストラクション)
寿建設の岡口幸一工事支援部長(写真:日経コンストラクション)
[画像のクリックで拡大表示]