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 国土交通省淀川河川事務所は2019年度、京都市の嵐山地区を流れる桂川の左岸に洪水対策で可動式止水壁を設置する。観光客でにぎわう景勝地であることに配慮して、越水を防ぐ壁となる「扉体」を平時は格納し、高さを半分以下にできる全国でも珍しい構造とする。18年12月10日に発表した。

2018年7月6日、西日本豪雨で越水した渡月橋付近の桂川左岸(写真:国土交通省)
2018年7月6日、西日本豪雨で越水した渡月橋付近の桂川左岸(写真:国土交通省)
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 嵐山地区の桂川には渡月橋が架かり、右岸に望む嵐山と共に京都でも有数の美観を形成する。同地区は国の史跡と名勝の指定も受けている。

 一方、桂川は豪雨でたびたび洪水を起こした歴史もある。13年の台風18号に伴う水害を受け、淀川河川事務所は15年に河道の堆積土砂を除去。17年には水の流れを良くするため「6号井堰(せき)」を撤去した。それでも18年7月の西日本豪雨で、左岸の店舗が浸水被害に遭った。

 淀川河川事務所は京都府、京都市と学識者らで構成する「桂川・嵐山地区河川整備に関する検討委員会」(委員長:中川博次・京都大学名誉教授)を設置し、桂川の洪水対策を検討している。18年12月10日に開いた第8回会合で、渡月橋付近の左岸の越水対策として可動式止水壁の概要を提示した。

■垂直起立式の可動式止水壁の構造案
■垂直起立式の可動式止水壁の構造案
(資料:国土交通省)
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 嵐山地区では他に「一の井堰」の改築や、本流から分岐した「派川」の改修も計画しているが、どちらも長期間を要することから、左岸への止水壁設置を先行させる。止水壁の延長は240m。建設技術研究所が詳細設計を進めており、19年3月までに完了する予定だ。19年度に着工し、年度内の完成を目指す。事業費は未定。