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 2016年に新名神高速道路の建設現場で作業員10人が死傷した橋桁落下事故で、施工会社の工事計画部門が送った安全管理に関するメールの書き方に問題があり、当時の現場所長に指示が伝わっていなかったことが分かった。業務上過失致死傷罪に問われた元所長に有罪判決を言い渡した神戸地裁は、こうした点を考慮して刑を減じていた。

橋桁が落下した新名神高速道路有馬川橋の建設現場。2016年4月撮影(写真:日経コンストラクション)
橋桁が落下した新名神高速道路有馬川橋の建設現場。2016年4月撮影(写真:日経コンストラクション)
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 事故では、死者2人に加え、片腕を失うなどの重傷を負った者が多かった。被害の大きさからすると、過失を犯した元所長は「普通なら実刑になる」(法曹関係者)とみられていた。元所長を起訴した検察も、裁判で禁固3年6カ月を求刑した。

 しかし、裁判所は19年4月の判決で、元所長が計画部門から受け取ったメールの件名や本文から指示を読み取ることはできず、添付図面を確認しなければ内容が分からなかったと指摘。「計画部門の指示の在り方に相当の問題があった」と断じた。そのうえで、「あくまで現場における責任者にとどまる被告人(元所長)個人のみに、事故の全責任を帰することには躊躇(ちゅうちょ)を覚える」などと述べ、元所長の刑を禁固3年、執行猶予5年とした。

神戸地裁が2019年4月23日に出した判決の一部
神戸地裁が2019年4月23日に出した判決の一部
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