全1277文字
PR

 高速道路の対面通行区間の橋梁上で、センターラインに設置したワイヤロープ式防護柵が相次いで傾いた。支柱を固定するアスファルト舗装の耐力が、暑さで低下したことが原因だ。正面衝突防止のために同防護柵の導入を推進している国土交通省は、床版に直接、コンクリート基礎を打設して支柱を立てる新たな定着方法を開発した。

中日本高速道路会社が管理する東海環状自動車道の関テクハイ橋で傾いたワイヤロープ式防護柵(写真:国土交通省)
中日本高速道路会社が管理する東海環状自動車道の関テクハイ橋で傾いたワイヤロープ式防護柵(写真:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
新しく開発した定着方法で設置したワイヤロープ式防護柵。アスファルト舗装ではなく橋の床版に直接、コンクリートの基礎を定着させる(写真:国土交通省)
新しく開発した定着方法で設置したワイヤロープ式防護柵。アスファルト舗装ではなく橋の床版に直接、コンクリートの基礎を定着させる(写真:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 全国の高速道路の約4割に当たる4383kmが、暫定的に片側1車線の対面通行で供用している。国交省は18年6月、センターラインからの飛び出しを防ぐために、4車線化などの予定がない約1500kmで5年以内にワイヤ式防護柵を整備する方針を打ち出した。ワイヤ式は設置幅が狭いので、中央分離帯を設けられない対面通行区間にも導入できる。19年4月1日時点で、22路線の延長計約180kmで設置が完了した。

 ワイヤ式防護柵の支柱の傾きは、いずれも延長20~40mほどの中小橋のカーブ区間で発生した。土工区間と異なり、支柱を地中に埋められない橋の上では、アスファルト舗装にアンカーで定着させている。カーブ区間では、内側に向かうワイヤロープの張力が、支柱を固定するアンカーを通じて上向きの力となって作用。舗装が盛り上がって、支柱が倒れたと国交省はみる。

道路のカーブ区間に設置したワイヤロープ式防護柵では、内側に向かって傾く力がかかる(資料:国土交通省)
道路のカーブ区間に設置したワイヤロープ式防護柵では、内側に向かって傾く力がかかる(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 気温の高さも支柱が倒れる要因となった。アスファルト舗装の耐力は、5~20℃の低温域ではコンクリートと同等だが、温度の上昇に伴って大幅に低下する。

アスファルトの温度と弾性係数の関係。温度の上昇に伴い、応力に対して変形しやすくなる(資料:国土交通省)
アスファルトの温度と弾性係数の関係。温度の上昇に伴い、応力に対して変形しやすくなる(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 2017年12月~18年3月に8カ所の中小橋で設置したワイヤ式防護柵のうち、東海環状、松山、東九州の3つの自動車道で計4カ所が傾いた。中日本高速道路会社が管理する東海環状の関テクハイ橋では施工後2週間に、設置した11本全てが傾斜。支柱の頂部が最大で40cm変位し、アンカーの底部よりも深い位置で舗装が破断した。付近に設置した温度計の記録によると、支柱が傾く前の数日間、路面の最高温度が30℃を超える状態が続いていた。

関テクハイ橋では、支柱の頂部が最大40cm変位した(写真:国土交通省)
関テクハイ橋では、支柱の頂部が最大40cm変位した(写真:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]