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福島県が南相馬市に整備している研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」(福島RTF)で、水中ロボットの試験に使う大型水槽が15mmほど沈下したことが分かった。水槽の完成後、周りを囲っていた土留めの鋼矢板を半数ほど引き抜いた段階で沈下した。引き抜きで生じた隙間に土砂などが入り込んだことが原因とみられる。
沈下した水槽は、屋内水槽試験棟の設備の1つだ。厚さ2mの鉄筋コンクリートで囲った構造で、内寸は縦30m、横12m、深さ8m。水中構造物を点検するロボットの試験などに利用する。設計はパシフィックコンサルタンツ。約4億4000万円で受注した東北建設(福島県南相馬市)が施工している。
建設の手順は以下の通りだ。まず、幅50cm、長さ17.5mの鋼矢板約240本で周囲を土留めし、内側を掘削。底に再生砕石(RC-40)を高さ3mほど敷設して、その上に鉄筋コンクリートで水槽を構築した。水槽の完成後、外側を埋め戻してから鋼矢板を引き抜いた。
2019年6月中旬、西側と南側の鋼矢板を引き抜いたところで、3分割して打設した水槽の躯体うち、西側のブロックが沈下しているのが分かった。
その後、沈下が進行していないことから、県は地盤の強度に問題はなく、鋼矢板の引き抜きが原因とみている。「現時点で、設計や施工の不備は確認されていない」(福島県ロボット産業推進室)