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熊谷組と東京工業高等専門学校は、遠隔操作するオペレーターが建設機械の傾きや振動をリアルタイムで感じられる「無人化施工VR技術」を共同で開発した。災害復旧工事などで、無人化施工の効率化や安全性向上を図れる。熊谷組は、2020年度に現場での実用化を目指す。
開発した新技術では、建設機械のコックピット内などに取り付けた360度カメラと加速度センサーで映像と音、建設機械の動きを記録し、遠隔操作室へ転送する。同操作室ではヘッドマウントディスプレー(HMD)で映像を再生すると同時に、3自由度モーションベースによって建設機械の動きや振動を再現する。東京工業高等専門学校が開発した、選手目線の映像や動きを再現したスポーツ観戦システム「シンクロアスリート」を応用した。
コックピット内に設置した360度カメラだけでは後方が見えづらいため、建機上部にも後方を見るためのカメラを取り付ける。HMDを着けた状態で後ろを振り向けば、映像が後方用のカメラに自動で切り替わる仕組みだ。
加速度センサーは前後、左右、上下の6軸の加速度を記録する。「映像や動きの再現には1秒に満たない程度の遅延があるが、操作に大きな影響はない」と熊谷組土木事業本部ICT推進室の北原成郎室長は話す。