全1283文字

 これまでの想定を超えた雨量をもたらす近年の豪雨。2019年10月の台風19号は、都道府県が管理する中小河川の課題を浮き彫りにした。台風19号では71の河川で堤防が決壊したが、うち約6割の43が水防法で浸水想定区域を指定する対象に含まれない中小河川だった。

2019年10月の台風19号の大雨により長野市穂保で決壊した千曲川の堤防。19年10月15日撮影(写真:大村 拓也)
2019年10月の台風19号の大雨により長野市穂保で決壊した千曲川の堤防。19年10月15日撮影(写真:大村 拓也)
[画像のクリックで拡大表示]

 国土交通省は「中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会」(座長:池内幸司・東京大学大学院工学系研究科教授)を設置。中小河川にも浸水想定区域を指定するよう自治体に促すため、20年1月7日に水害リスクの簡易な評価手法を検討する第1回会合を開催した。

 水防法は「洪水予報河川」と「水位周知河川」で、洪水浸水想定区域を指定するよう定めている。国が管理する448河川は全て指定済みだ。都道府県管理の1644河川については29が未指定だが、大きな課題はこれら2つの河川に含まれない中小の「その他河川」にある。

 国交省河川環境課水防企画室の斎藤正徳課長補佐は、「その他河川は全国に約1万9000あるが、浸水想定区域の指定が進んでいない」と言う。国交省は16年8月に東北地方や北海道に大雨をもたらした台風10号の被害を踏まえ、自治体にその他河川を水防法で定める河川などに指定するよう要請してきたが、進捗は芳しくない。自治体の負担が大きいためだ。

水防法で指定された河川の数。指定対象外となる中小河川の「その他河川」は全国に約1万9000存在する。激甚化する豪雨災害に備えるため、水害リスクの評価が課題となっている(資料:国土交通省)
水防法で指定された河川の数。指定対象外となる中小河川の「その他河川」は全国に約1万9000存在する。激甚化する豪雨災害に備えるため、水害リスクの評価が課題となっている(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば、自治体がその他河川を新たに水位周知河川に指定するには、洪水浸水想定区域の検討や水位計の設置などが必要となり、相当な費用負担が発生する。その他河川は、浸水想定区域の設定に必要な測量データがない場合が多いため、水害リスクを簡便に評価するための手引きが必要となるのだ。

 技術検討会では既存データの活用や簡素化した氾濫計算の手法を吟味し、20年6月ごろに自治体に示すガイドラインをまとめる予定だ。

この記事は有料会員限定です

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

有料会員と登録会員の違い