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 国土交通省は、建設現場の担い手確保を図るため、直轄工事に適用する積算基準を2020年4月1日に改定する。施工条件の厳しい工事や週休2日を実施した工事で間接経費を割り増す他、ICT(情報通信技術)の活用に伴う経費の増加にも対応する。

道路を交通規制するなど施工条件が厳しい工事では、担い手確保が課題になっている。写真は道路維持修繕工事で舗装材を敷きならしている様子(写真:国土交通省)
道路を交通規制するなど施工条件が厳しい工事では、担い手確保が課題になっている。写真は道路維持修繕工事で舗装材を敷きならしている様子(写真:国土交通省)
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 今回の改定は、19年6月の公共工事品質確保促進法の改正を受けた措置だ。円滑な施工体制の確保や働き方改革、i-Constructionなどを推進するため、実態調査を踏まえて積算基準を見直した。特に、担い手確保を目的とした変更が目を引く。

 代表例は、交通量の多い市街地の道路で通行を規制して作業する工事における間接経費の割り増しだ。電線共同溝と道路維持、舗装、橋梁保全の4工種で、共通仮設費の補正係数を現行の1.2または1.3から一律1.4へ、現場管理費も1.1から1.2へ、それぞれ引き上げる。

一般交通の影響を受ける道路上の工事などで補正係数を引き上げ(資料:国土交通省)
一般交通の影響を受ける道路上の工事などで補正係数を引き上げ(資料:国土交通省)
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 交通規制を伴う市街地の道路工事では、作業時間が夜間などに限定されることが多い。通常の工事よりも作業効率が低いうえに、自動車が現場に突入して作業員らが死傷する事故も後を絶たない。受注を敬遠する建設会社も多く、入札の不調・不落が目立つ。

 国交省関東地方整備局は10年以上前から、こうした工事を「難工事」に指定。以降の発注工事の入札で加点する仕組みを導入してきた。国交省が20年1月31日に各地方整備局や北海道開発局などに出した通達でも、施工体制の確保策として関東地整の取り組みを例示している。

 山間部の地滑り対策なども、施工条件の厳しい工事の1つだ。現場への移動に時間がかかり、標準作業時間(8時間)を確保できないケースが少なくない。最近は、台風や地震など自然災害の頻発に伴い、山間部での復旧作業などが増えている。

 今回の改定では、地滑り対策など山間部の工事を「時間的制約を受ける公共土木工事の積算」の対象に追加。補正係数1.14を適用して、労務費を割り増せるようにした。これによって、例えば直接工事費1億円の砂防工事では、全体の工事価格が1.3%増えるという。

時間的制約を受ける工事の積算に、移動に時間がかかる山間部での施工を追加(資料:国土交通省)
時間的制約を受ける工事の積算に、移動に時間がかかる山間部での施工を追加(資料:国土交通省)
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