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 島根県出雲市の橋の建設現場で2020年2月17日、橋台上で組み立てた高さ12mの門形クレーンが倒壊し、作業員2人が負傷した。クレーンを固定する控えワイヤの取り外し作業の直前あるいは直後に倒れたとみられる。

倒壊した門形クレーン。架かっているのは鋼製の架設桁。負傷した作業者は門形クレーンの支柱から投げ出された(写真:島根県)
倒壊した門形クレーン。架かっているのは鋼製の架設桁。負傷した作業者は門形クレーンの支柱から投げ出された(写真:島根県)
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 事故が発生したのは、出雲市内を通る県道斐川上島線の建設現場。市道とため池をまたいで橋長75mのプレストレスト・コンクリート製の上部工を架ける工事だ。県が一般競争入札で発注し、極東興和(広島市)が1億9970万円(税抜き)で落札。19年9月から20年11月までの工期で工事を進めていた。

 この現場では、門形クレーンを使った架設桁架設工法を採用し、2径間連結バルブT桁を3本並べる計画だ。まず、橋台と橋脚との間に設けた鋼製の架設桁に、工場で製作した橋桁を載せて送り出す。次に、橋脚と橋台の上にそれぞれ設置した2台の門形クレーンで橋桁の両端を吊り下ろして架設する。事故当時は架設桁の設置を終え、橋台上で組み立てた門形クレーンをため池内の橋脚上に移設する準備の途中だった。

 県土木部道路建設課によると、負傷した作業員のうち1人は、控えワイヤの取り外し作業のため門形クレーンの支柱に登っている時に事故に巻き込まれた。約10m下の市道に投げ出され、顔の骨を折るなどのけがを負った。

 架設桁の上で門形クレーンの吊り上げ装置に機材を取り付けていた作業員も転倒し、負傷した。

 控えワイヤを取り外してから門形クレーンが倒れたのか、作業の着手前に倒れたのかは明らかになっていない。作業手順などが事前の計画通りだったのかどうかは調査中だ。倒壊した時点で控えワイヤは外れていた。

 当時、現場付近では毎秒8m程度の強風を記録しているが、風だけで倒壊したとは考えにくい。今後、警察や労働基準監督署などが事故原因の調査を進める。

 架設桁架設工法では、15年7月に熊本市内で門形クレーンが倒壊する事故が起こっている。クレーンの脚部に木材を挟んで高さを調整していたために、バランスを崩したのが原因だった。同年6月には、北海道木古内町でも同工法で設置中の架設桁が落下して4人が死傷する事故があった。

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