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製造時に二酸化炭素を吸収

 砂とゼラチン、微生物の混合物を乾燥させる過程で、大半のシアノバクテリアは死滅する。一方、生き残ったシアノバクテリアは気温と湿度が上がると再び活性化して増殖を始める。砂やゼラチンなど他の組成物を補えば、同質材料の「コピー」を作り出せるのだ。

 新材料を使って完成させたブロック材を半分に割った場合を考えると分かりやすい。それぞれを新たな砂やゼラチンと一緒に別の型枠に流し込めば、シアノバクテリアが増殖し、新たな2つのブロックとして成長する。部材にひび割れや欠損が生じても、同様の性質を利用すれば自己修復が可能になる。

バクテリアが増殖できる温度や湿度の条件下で新材料を型枠に流し込めば、どんな形の部材も生成できる。最大で600cm3の材料を一度に固めた実績がある(写真:The University of Colorado Boulder College of Engineering and Applied Science)
バクテリアが増殖できる温度や湿度の条件下で新材料を型枠に流し込めば、どんな形の部材も生成できる。最大で600cm3の材料を一度に固めた実績がある(写真:The University of Colorado Boulder College of Engineering and Applied Science)
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 「バクテリアは指数関数的に増殖していく。ブロック材も1つずつ打設するのではなく、1つのブロック材を指数関数的に増やせれば、構造部材の生産方法に革命を起こせるかもしれない」(シュルーバー博士)。理論上は、型枠さえあれば製作できる部材の大きさに制限はない。資材の運搬に制限がある宇宙空間などでは、この性質が大いに役立つ。

 製造時の環境負荷が小さい点も長所だ。新材料の製造時にはシアノバクテリアが光合成するので、二酸化炭素を吸収する。コンクリート材料である一般的なセメントが、製造時に大量の二酸化炭素を放出するのとは対照的だ。