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 大成建設と富士化学、精研の3社は、凍結工法を用いた大深度のシールドトンネル工事で、シールド機のカッタービットの交換に必要な凍土掘削期間を半減できる手法を共同で開発した。特殊な加泥材によってシールド機のカッターヘッドと周辺地盤との凍り付きを防げるため、人力によるはつり作業の手間を省け、作業効率が大幅に向上する。大成建設が名古屋市から受注した下水道工事で有効性を確認した。

開発した手法(本方式)と従来方式の比較(資料:大成建設)
開発した手法(本方式)と従来方式の比較(資料:大成建設)
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 硬い地盤などを掘削するシールドトンネル工事では、シールド機前面のカッタービットが摩耗するため、施工中に交換しなければならない。交換では、地中に挿入したパイプに冷却液を流し、切り羽とシールド機の周辺地盤を強制的に凍らせる凍結工法を採用するケースが多い。

 従来は、凍り付いたカッターヘッドの前面を人力ではつり、面盤と同じ面積で奥行き1mほどのスペースを確保していた。作業員の手が届かない上部は、足場を設ける必要があった。寒くて狭い空間での作業には多くの労力と時間がかかっていた。

 そこで大成建設など3社は、作業の安全性と効率性の向上を図るため、「凍結しない加泥材」を開発した。

 加泥材に、凝固点をマイナス20℃以下に下げる効果を持つ添加剤を混ぜている。これを面盤の前面にあらかじめ注入すると、地盤を凍結してもカッターヘッド周辺の掘削土に含まれる水分は凍らず、カッターヘッドの回転が可能となる。

 人が入れる空間だけ確保すれば、後はカッターヘッドを回しながら全面に付いているビットを交換できる。はつる範囲を大幅に減らせる。

 大成建設が着想し、加泥材の効果を確認する方法や施工計画を立案。富士化学が凝固点を降下させる添加剤の選定や配合設計を担った。精研は加泥材を混ぜた掘削土の強度試験などを行った。

シールド機の前面の外周側に取り付けるカッタービット。施工中に摩耗するため、交換しなければならない。左は交換前、右は交換用のビット(写真:大成建設)
シールド機の前面の外周側に取り付けるカッタービット。施工中に摩耗するため、交換しなければならない。左は交換前、右は交換用のビット(写真:大成建設)
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