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■樹脂とステンレスを格子状に組み合わせた
■樹脂とステンレスを格子状に組み合わせた
全て樹脂製の補強材と比べると材料費は高くなる。大林組の資料を基に日経クロステックが作成
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格子の横材をステンレス鋼に

 グリグリッドは、ジオグリッドと同様に格子状の組み方を採用している。ただし横材の材質をステンレス鋼に変更し、格子の間隔を調整可能にした。格子の間隔を栗石の粒径に合わせることでかみ合わせを維持でき、剛性があるため栗石の流動化を抑えやすい。石垣の模型による実験で、ジオグリッドで補強した場合と比べて耐震性が25%増すことを確認した。同社土木本部生産技術本部技術第二部の川本卓人・技術第四課副課長は、「16年の熊本地震と同程度の地震にも耐える」と話す。

■5分の1スケールの模型石垣で補強の効果を検証
■5分の1スケールの模型石垣で補強の効果を検証
(写真:大林組)
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 グリグリッドは栗石層に1.2m以内の間隔で挿入する。材料費は栗石層の粒径や補強する石垣の高さなどの条件で変動する。小天守入り口の石垣で用いたものはジオグリッドの2倍になった。施工費はジオグリッドと同等だった。

 大林組からグリグリッドの提案を受けた市は、「恐らく他のどの城の石垣でもまだ使われていない新技術。文化遺産として価値が高い特別史跡の石垣に使ってよいのかと当初は不安もあった」(熊本城総合事務所土木整備班)としている。新工法の採用について文化庁や学識者と協議し、理解を得られたことで採用に踏み切った。天守台の石垣の積み直しは19年6月にほぼ完了した。

 他県の城跡でも地震に備えた石垣の積み直しや、豪雨災害で崩落した石垣の復旧の動きがある。大林組は熊本城天守閣で実績を残したグリグリッドを今後、様々な城跡の石垣の補強で提案していく考えだ。

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大林組の発表資料