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栗石(ぐりいし)層の中にグリグリッドを敷いた熊本城天守台の石垣の積み直し工事現場。小天守の入り口付近(写真:熊本市)
栗石(ぐりいし)層の中にグリグリッドを敷いた熊本城天守台の石垣の積み直し工事現場。小天守の入り口付近(写真:熊本市)
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 大林組は城跡の石垣の耐震性を高めるために、ステンレス鋼と樹脂製の材料を格子状に組み合わせた補強材「グリグリッド」を開発した。熊本城天守閣の石垣の積み直しで、背面に詰める裏込め材である栗石(ぐりいし)に挿入して使った。

■栗石層に挿入して補強
■栗石層に挿入して補強
大林組の資料を基に日経クロステックが作成
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 城跡の石垣の大まかな構造は、表面に見える築石などの石材と、粒径10~30cm程度の栗石を積み上げた裏込め部分から成る。栗石層は石垣の水はけを良くする役割を担う半面、地震時には流動化して表面の石材を圧迫し、崩落させる恐れがある。

 最大震度が7に達した2016年の熊本地震では熊本城の石垣が崩壊。大天守と小天守から成る天守閣の復旧工事を受注した大林組は、観光客が近くで見る可能性が高い天守台の石垣は補強した方がよいと判断した。

 栗石層の流動化を抑える既存の補強材には、樹脂製で格子状のジオグリッドがある。しかし同社は採用を見送り、新たな補強材を開発することにした。ジオグリッドは格子の間隔が5cm程度と栗石の粒径よりも狭く、平時に栗石同士のかみ合わせを妨げることが指摘されていた。また軟らかい樹脂製の素材が地震時に変形し、栗石の流動化に追従する恐れがある。