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 安倍晋三首相が2020年4月7日に発令した緊急事態宣言を受け、西松建設が打ち出した「工事中止」の方針が建設業界に波紋を呼んでいる。ある建設会社の幹部は「朝、西松さんのウェブサイトを見てびっくりした」と打ち明ける。別の建設会社でも「あそこまで、よく踏み込んだな」と驚きの声が上がっている。異例の決断に至った背景を解説する。

西松建設はウェブサイトで緊急事態宣言を受けた「工事中止」の方針を発表した
西松建設はウェブサイトで緊急事態宣言を受けた「工事中止」の方針を発表した

 国土交通省は緊急事態宣言発令の直後、宣言対象域内で既に契約を結んでいる直轄工事について対応策を発表。受発注者による協議を開き、受注者から一時中止や工期延長の希望がある場合には中止措置などを取るとした方針を地方整備局や北海道開発局などに通知した。この対応策を受けて受注者である建設会社がどんな方針を取るかに注目が集まっていた。

国土交通省が示した直轄工事に関する取り扱い(資料:国土交通省)
国土交通省が示した直轄工事に関する取り扱い(資料:国土交通省)

 西松建設は4月8日、自社のウェブサイトで緊急事態宣言を受けての対応を公表。「施工中の現場について、発注者と協議のうえ、工事中止・現場閉所することを基本方針とする」と表明した。公共と民間、土木と建築の別なく、全ての工事を対象とする。自ら官民の発注者に申し出て、相手が拒まなければ工事を中断する。

 前日の7日、緊急事態宣言の発令に備え、髙瀨伸利社長をトップと同社BCP対策本部のメンバーが集まっていた。今後の対応を協議するなかで、「工事中止は非常に難しい」といった趣旨の慎重な意見もあったという。しかし、「自社の利益のために工事を続けているとみられかねない」との意見で、最終的に「工事を続けて、万一感染を広げたら、企業の社会的責任が問われる」と判断した。

 工事中止方針の決定は、主要建設会社では初とみられる。