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 緊急事態宣言発令翌日の2020年4月8日、西松建設は「施工中の現場について、発注者と協議のうえ、工事中止・現場閉所する」という異例の方針を表明した。工事が中断すれば、元請け会社である西松建設と下請け契約を結ぶ専門工事会社に影響が及ぶ。専門工事会社では、契約見直しや作業員の処遇といった対応を社内で協議するなど中断に備える動きが広がっている。

 日経クロステックは西松建設が方針を表明した翌々日の4月10日、同社が元請けとして施工する都内の民間工事現場のうち数カ所を訪れた。すると、確認した現場は全て稼働していた。

西松建設が東京都千代田区で施工中の工事現場。クレーンなどが稼働していた。2020年4月10日に撮影(写真:日経クロステック)
西松建設が東京都千代田区で施工中の工事現場。クレーンなどが稼働していた。2020年4月10日に撮影(写真:日経クロステック)
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 ある現場の関係者からは、「今は外構工事の真っ最中で、止まるなんて話は聞いていない。来週の工事予定も既に確認済みだ」「現場で感染者が出ない限り、中断にはならないだろう」といった声が上がった。

 国土交通省によれば、4月10日時点で中断しているのは直轄工事約6000件のうち100件と約2%にとどまる。日経クロステックが確認した西松建設の現場は全て民間工事であり、発注者との協議は「中止の申し出があれば採用する」と表明している国交省より時間がかかることが予想される。「中止宣言」から日が浅い段階で、実際に止まったケースや現場での混乱はまだ少なそうだ。

 一方で工事が中断すれば、作業員を多く抱える専門工事会社や、主に日当で働く職人への影響は計り知れない。

 西松建設の協力会に所属する企業は「新型コロナウイルスへの対策会議を設置して対応を検討している」(設備工事会社)とする回答が多く、各社で経営幹部などが動き出している様子が見て取れた。工事が中断した場合の混乱への準備を急いでいるとみられる。