イクシス(川崎市)は図面や3次元点群データから構造物の3次元モデルを作成し、点検や補修履歴などの情報をモデル上に自動で蓄積する技術を開発した。ひび割れなど損傷の位置や大きさを高精度で確認でき、経年劣化の把握や点検調書の作成を省力化する。
構造物全体の3次元点群データや写真を、同社が保有する専用のロボットで取得。データは自動でクラウドに送られ、構造物の3次元モデルを作成したり、AI(人工知能)の画像解析で写真から損傷を抽出したりする。
解析した写真は、システム上でモデルに重ね合わせて表示し、損傷の位置や大きさを特定できる。複数枚並べて調書や3次元納品の形式で出力することも可能だ。
AIによる画像解析は、精度の高さが特徴だ。例えばひび割れは、0.2mm未満、0.2~0.3mm、0.3mm以上と0.1mm単位で幅を認識し、色分けして写真に表示する。その他、剥落やさび、漏水、遊離石灰なども検知できる。損傷の有無だけでなく詳細な大きさなどが分かることで、長期にわたって経年劣化の確認や補修計画の立案に役立てられる。
こうしたデータの解析や整理を、ほとんど人手を介さずに短時間で実施できるのは、同社がロボットの開発を一から手掛けているためだ。維持管理での活用事例が増えているドローンを例に挙げると、手軽さが魅力な半面、安定した操作が難しい。イクシスの山崎文敬代表取締役は「ドローンは詳細な解析に適した均質なデータが取りにくい」と話す。