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「1カ月程度なら耐えられる」

 もともと、主要建設会社が工事中断に踏み切った背景には、緊急事態宣言の当初の対象期間が工事の閑散期に当たっていたという事情もあった。3月末までに主な工事の完成検査を終え、各社にとって4月中旬~5月初旬は工事が一段落している時期だ。

 3月期決算の建設会社にとって、第1四半期(4~6月期)は他の四半期に比べて売り上げが少ない。たとえ同時期に工事を中断しても、通期の業績への影響は限られる。「建設現場で一般的な『4週6休』の働き方を以前の『4週4休』に戻せば、工事中断による工程の遅れは十分に取り戻せる」といった見方もある。

 建設業界では、「当初の1カ月程度の宣言期間なら、工事を中断しても、何とか耐えられる。しかし、宣言がいつまで続くか分からない状況では、各社の我慢にも限界がある」(準大手建設会社)との指摘もある。

 なかでも清水建設は、緊急事態宣言で特に警戒を要するとした13都道府県にある建設現場約630カ所のうち、85%に当たる500カ所余りで工事を中断した。「宣言の先行き不透明ななかで、このまま工事中断を続ければ、業績への影響が無視できなくなる」とみる向きが多い。

 こうしたなかで、注目を集めるのが大林組だ。政府が4月7日に緊急事態宣言を出した際には、多くの会社が旗幟(きし)を鮮明にしないなかで、工事を原則として継続する方針を自社のウェブサイトに掲載した。ところが4月15日に一転、工事を原則として中断する方針を示した。同社はこのときに既に宣言の延長を見据えており、今回の政府の正式発表では既定方針通りに対応したという。

 建設業界では、「大林(組)さんは4月の緊急事態宣言のときもそうだったが、他社と異なる方向に進みたがる傾向があるようだ。業界を引っ張っていくという自負があるのだろう」といった声も聞かれる。