新型コロナウイルスの感染拡大で自社の業績にマイナスの影響を見込む企業が建設業で9割近くに上ることが、帝国データバンクの調査で明らかになった。同社が2020年3月に実施した前回調査よりも14ポイント増加した。2月の初回調査と比べると40ポイント近く増え、時間の経過とともに状況が悪化している。
調査は、建設業の他、製造や小売り、不動産、金融など10業界51業種の全国2万3672社を対象に、20年4月16日から30日にかけて実施した。有効回答数は1万1961社で、うち建設業は16%に当たる1943社だった。
調査の結果、建設業では自社の業績に「既にマイナスの影響がある」との回答が、前回調査よりも10.7ポイント増えて43.2%。「今後マイナスの影響がある」も3.3ポイント増の44.6%となった。両者を合わせた「マイナスの影響がある」との回答は87.8%に上った。
今後の悪影響を見込む企業の割合は、「その他」を除く9業界で最も高く、最下位の小売業を30ポイント近く上回る。時間がたつにつれ、先行きへの不安が高まっている。
調査時期が「緊急事態宣言」の対象期間と重なった影響も大きいとみられる。政府は4月7日、東京都や大阪府など7都府県に緊急事態宣言を発令。16日に対象地域を全国に拡大した。さらに4月下旬に、対象期間の延長の可能性を伝える報道も相次いだ。
政府の緊急事態宣言を受け、清水建設や大林組、鹿島、西松建設、戸田建設など大手・準大手建設会社が次々と施工中の工事を中断する方針を発表した。
調査では、北海道で土木工事を手掛ける建設会社から「官公庁工事が中心であるため、現在のところ直接の被害は感じていない。しかし、大手建設会社のように、いつ工事が中止になるか分からない」といった不安の声が寄せられた。