全910文字
PR

 川田工業とMKエンジニアリングは芝浦工業大学の指導の下、橋梁鋼床版の疲労亀裂の進展を防ぐKMリフト工法を共同で開発した。特殊な機材を使わずに、疲労亀裂が生じる溶接部への応力を、80%程度低減できる。道路規制や舗装の撤去が不要で、施工時間の短縮や施工コストの削減につながる。

KMリフト工法を使った補強例(写真:川田工業)
KMリフト工法を使った補強例(写真:川田工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 垂直補剛材とデッキプレートの溶接部には繰り返しの交通荷重によって、疲労亀裂が生じやすい。開発した工法では、垂直補剛材とデッキプレートの両方に専用の補強部材「KMリフト」を密着接合させる。交通荷重などによる応力がデッキプレートから補強部材を通って垂直補剛材に伝わるようになり、溶接部の疲労亀裂の進展を止められる。

垂直補剛材とデッキプレートの溶接部における疲労亀裂(写真:川田工業)
垂直補剛材とデッキプレートの溶接部における疲労亀裂(写真:川田工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 ただしデッキプレートと補強部材とをボルトで接合しようとすると、道路規制や舗装の撤去など大規模な作業が必要になる。一方、垂直補剛材と補強部材をボルトでただつなぐだけでは接合が不十分となり、応力を補強部材に伝達する効果が薄まる。

 そこでKMリフト工法では、密着接合の仕方を工夫した。補強部材を垂直補剛材に合わせたときに、補強部材のボルト孔が垂直補剛材の孔よりも1mm弱下にずれるように開けておく。孔がずれた状態で支圧接合用高力ボルトを打ち込むと、1mm弱分だけ補強材が持ち上がり、デッキプレートとの密着性が高まる仕組みだ。

手前は補強部材、孔の背面にわずかに垂直補剛材が見える(写真:川田工業)
手前は補強部材、孔の背面にわずかに垂直補剛材が見える(写真:川田工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 ボルトへの負荷は多少かかるものの、ねじ山が少しつぶれる程度で、ボルト本体には影響が生じない。疲労実験でボルトの耐久性に問題がないことを確認した。

少しずれた孔に支圧接合用高力ボルトを差し込んで、補強部材が上のデッキプレートに密着接合するイメージ(資料:川田工業)
少しずれた孔に支圧接合用高力ボルトを差し込んで、補強部材が上のデッキプレートに密着接合するイメージ(資料:川田工業)
[画像のクリックで拡大表示]