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 大雨で決壊した米ミシガン州の2つの水力発電用ダムで、これまで洪水吐きの放流能力の不足を再三、指摘されていたことが分かった。建設から100年近く経過しており、大規模な洪水に対する耐久性不足が問題視されていた。維持補修の遅れが甚大な被害につながった恐れがある。

ミシガン州周辺の5月20日までの5日間の総雨量の分布(左図)。ティタバワッシー川流域で最大の降雨量を記録した(資料:米国立気象庁)
ミシガン州周辺の5月20日までの5日間の総雨量の分布(左図)。ティタバワッシー川流域で最大の降雨量を記録した(資料:米国立気象庁)
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 2つのダムは2020年5月19日(現地時間)、数日続いた大雨で立て続けに決壊した。下流にあるミシガン州ミッドランド郡では緊急事態宣言が出され、1万人以上が避難。ミッドランド市の中心部で浸水深が1.5mに達するなど、大規模な洪水被害に見舞われた。現地報道によると、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中での避難に混乱はあったものの、洪水による死傷者は確認されていない。

エデンビルダムからミッドランド市にかけての2019年6月3日時点と、洪水発生直後の20年5月20日時点の様子を比較した衛星写真。洪水により、泥水がミッドランド市の市街地に広がっている(写真:NASA Earth Observatory)
エデンビルダムからミッドランド市にかけての2019年6月3日時点と、洪水発生直後の20年5月20日時点の様子を比較した衛星写真。洪水により、泥水がミッドランド市の市街地に広がっている(写真:NASA Earth Observatory)
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 州の発表によると、5月19日午後5時46分、同州エデンビル市から北に1.6kmほどの位置にあるティタバワッシー川上流のエデンビルダムが決壊した。エデンビルダムは1924年に完成した堤頂長2km、堤高17m、総貯水量8170万m3のアースフィルダムだ。決壊の瞬間をとらえた動画から、堤体の東側の一部が上流からの水に押し流されるように崩れたことが分かっている。

 エデンビルダムが崩れた数時間後、ティタバワッシー川の約16km下流にあるサンフォードダムの貯水量が限界を超えた。あふれた水は流域の市街地に流れ込み、約10km下流のミッドランド市まで到達。多数の住宅が浸水し、道路や橋の流失が相次いだ。

 サンフォードダムは、1924年に建設された堤高10.8mのアースフィルダムだ。5月20日時点で越水のみ確認されていたが、水が引くにつれて破堤も明らかになった。

ティタバワッシー川の5月22日午前8時までの観測水位。5月20日午前に過去最高水位35.05フィート(約10.5m)を記録した。点線部は発表当時の推定値(資料:米国立気象庁)
ティタバワッシー川の5月22日午前8時までの観測水位。5月20日午前に過去最高水位35.05フィート(約10.5m)を記録した。点線部は発表当時の推定値(資料:米国立気象庁)
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 米国立気象庁によると、5月20日時点でティタバワッシー川の水位は10.5mに達し、過去最高を記録した。ミシガン州北部では5月17日から19日にかけての約36時間で、総雨量120~200mmの大雨が広範囲で観測されたという。5月17日時点のティタバワッシー川の水位は約5mで、3日のうちに6m近く上昇した。米国立気象庁は、これほどの降雨量は「200年に一度の規模」としている。