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 1級水系の河川にある全国のダムで水害対策に使える貯水容量の総量が倍増した。新たに確保した容量は、八ツ場ダム50個分に相当する。大雨が予測される際に、水力発電や農業用水など利水用の水を事前放流して空き容量を増やす。政府が2020年6月4日に開いた検討会議で明らかにした。

政府は八ツ場ダムの50個分に当たる貯水容量を水害対策用に確保した。写真は2019年10月の東日本台風(台風19号)でほぼ満水の状態になった八ツ場ダム(写真:大村 拓也)
政府は八ツ場ダムの50個分に当たる貯水容量を水害対策用に確保した。写真は2019年10月の東日本台風(台風19号)でほぼ満水の状態になった八ツ場ダム(写真:大村 拓也)
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 19年10月の東日本台風(台風19号)では、記録的な大雨で複数のダムが満水に近い状態となり、流入量とほぼ同量を緊急放流した。放流後、下流域で河川が氾濫し、周辺に被害が出たケースもあった。

 そこで、政府は同年11月に既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた検討会議を設置。翌12月に基本方針を作成し、河川管理者とダム管理者、利水権者の間で事前放流に関する治水協定を結ぶよう促した。

 この基本方針に基づき、1級水系のうちダムのある99水系で、20年5月末までに関係者が治水協定を締結。1級水系全体で水害対策に使える貯水容量が従来の46億m3から91億m3に倍増した。増量分の45億m3は、八ツ場ダムの有効貯水容量9000万m3の50倍に当たる。

利水用の貯留水を事前放流して、水害対策用の容量を確保する仕組み。気象庁が予測した降雨量を基に、事前放流が必要かどうかを決める(左)。降雨前に利水用の貯留水を放流して水位を下げておく(右)(資料:国土交通省)
利水用の貯留水を事前放流して、水害対策用の容量を確保する仕組み。気象庁が予測した降雨量を基に、事前放流が必要かどうかを決める(左)。降雨前に利水用の貯留水を放流して水位を下げておく(右)(資料:国土交通省)
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