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 土木構造物に同じ形は存在しない――。建設する現場によって地形や地質、仕様が異なるためだ。似たように見える構造物でも一から設計している。そんな設計の効率の悪さを、デジタルツールで変えようと試みているのがパシフィックコンサルタンツだ。航空業界や自動車業界などで広く使われるダッソー・システムズの3次元設計ソフト「CATIA(キャティア)」を使って、建設版の「設計自動化」を進めている。

フーチングの幅を大きくすると、鉄筋量が連動して自動的に増える(資料:パシフィックコンサルタンツ)
フーチングの幅を大きくすると、鉄筋量が連動して自動的に増える(資料:パシフィックコンサルタンツ)
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 橋梁設計を例にCATIAの使い方を説明しよう。CATIAでは、あらかじめ作製した橋脚などの3次元モデルを「テンプレート」として用意しておく。径間数や橋脚の太さの寸法をパラメーターとして設定。それぞれのパラメーターに数値を入力していけば、画面の3次元モデルが修正される仕組みだ。

 パラメーター間の関係性は自由に設定できる。橋脚の太さを変えただけで、鉄筋本数や配筋の間隔が自動で変わるようにすることも可能だ。従来は計算し直し、関連する図面を全て描き直さなければならなかった。

 さらに、CATIAは一度作製したテンプレートを蓄積する。例えば矩形(くけい)や楕円形の断面を持つ橋脚を一度設計すれば、別のプロジェクトでも、テンプレートに必要なパラメーターを入力するだけで同じような形状の部材を簡単に設計できる。

 「プロジェクトをこなすほどテンプレートが蓄積されていくため、加速度的に生産性を上げられるのを魅力に感じた」とパシフィックコンサルタンツi-Construction推進センターの鈴木啓司センター長は話す。

一度設計した部品はテンプレートとして蓄積する。新しく設計する際に再利用できる(資料:パシフィックコンサルタンツ)
一度設計した部品はテンプレートとして蓄積する。新しく設計する際に再利用できる(資料:パシフィックコンサルタンツ)
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