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 「withコロナ」の時代には開疎(開放×疎)化と並行して住まい方も変わる可能性が高い。慶応義塾大学教授の安宅和人氏は自身も関わる「風の谷を創る」運動を例に挙げ、都市集中型の未来に対するオルタナティブ(代替)の必要性を説く(インタビューは2020年5月15日にオンラインで実施した。聞き手は真鍋 政彦=日経クロステック/日経コンストラクション)。

(関連記事:空間のアップデートが巨大需要に、安宅氏が語るコロナ禍の「シン・ニホン」

安宅 和人(あたか・かずと)氏
安宅 和人(あたか・かずと)氏
慶応義塾大学 環境情報学部教授、ヤフーCSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)(写真:本人提供)
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新型コロナウイルスによって、都市に集中する住まい方は変わりそうでしょうか。

 まず進むのは都市における密密空間(密閉空間で密度が高い)の「開疎(開放×疎)化」ですが、それと並行して次第に変わるでしょう。既に私の周りではメインで暮らす場所を東京から郊外、地方に移す人がポツポツと現れ始めています。広帯域の接続があり、高速な端末さえ持っていれば、満員電車などで通勤する必要がないこと、むしろ効率的な場合も多いことが、大勢に明らかになってしまったことが第1の理由です。with(ウィズ)コロナ的な状況が当面続くことは否み難く、開疎的な暮らしが、集合住宅や人家の稠密(ちゅうみつ)する都市部では行いにくいことが第2の理由。また、リモートワーク環境下では多くの人が個人の空間を要しますが、その空間を都心では持ちにくいことが第3の理由として挙げられます。

 この結果、週に1、2度どうしてもというときだけ都心に出てきて、案件に集中対応するという形に移る人はそれなりに出てくるのではないかと考えます。過剰に密な都市の真ん中で物を買うことが本当によいのかどうかと感じる人はどうしても増えるため、できる限りリモートで買い、致し方ないときに覚悟と防御をして密密空間に近い所に物を買いに行くという感じの人も出てくるでしょう。

 世界的な強い都市化のトレンドの中において、人口密度が1km2当たり50人以下、1桁というような疎な地域の多くは、現在、急激に廃村に向かっています。しかし、土地の人に閉ざされることなく、都市的なリモートライフ、職住一体型の生活を求める人にも開かれ、通信や電気などのインフラ環境が十分に整うのであれば、それらの空間の価値も今までとは逆に上がっていくでしょう。