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 JR新横浜駅近くの市道環状2号線が2020年6月に2度にわたって陥没した事故は、直下で進めていたシールド工事で土砂を取り込みすぎたことが原因だと分かった。施工者はシールド機停止中の土砂流入量を監視していなかったため、過剰な取り込みを把握できなかった。発注者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が立ち上げた有識者委員会(委員長・龍岡文夫・東京大学名誉教授)が8月2日に事故原因をまとめた。

1回目と2回目の陥没時の様子(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
1回目と2回目の陥没時の様子(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
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 1回目の陥没は、6月12日に切り羽の40m後方で発生した。大きさは11m×8m程度で、深さは約4m。事故後の埋め戻し土量などから、陥没の大きさは約500m3だったと推定される。2回目の陥没は6月30日、1回目の事故現場から掘削と反対方向に300m離れた箇所で発生した。大きさは7m×6m、深さは約2mで、陥没量は約130m3。いずれの事故でもけが人はいなかった。

陥没箇所の位置関係。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に日経クロステックが加筆
陥没箇所の位置関係。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に日経クロステックが加筆
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 陥没現場の直下では、奥村組・佐藤工業・青木あすなろ建設・NB建設JVが相鉄・東急直通線新横浜トンネルの建設を進めていた。新綱島駅(仮称)から新横浜駅(同)に向かって、延長約3.3kmのトンネルを加圧泥水シールド工法で掘削する。1回目の陥没後、工事は中断している。

 事故当時は、上総層と呼ばれる砂層を掘り進めていた。通常はN値が50を超える安定した層だが、拘束圧を失い地下水が浸透すると流動性が高まり、崩れやすくなる。

 1回目の陥没箇所付近を掘り進めた際、固結した砂を取り込んだことなどが原因で、排泥管が詰まった。そのため、掘進を止めてカッターヘッドの裏にあるチャンバーという空間で最長30時間近く泥水と砂をかき混ぜたり、低速で慎重に掘進したりしていた。

 この間に、切り羽が長時間泥水にさらされ、圧力変動を受けたことで、地山の砂層が不安定になり、上部からチャンバー内に流入。地中に空隙ができた。こうした現象が10m近くにわたって生じたとみられる。

陥没のメカニズム。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に日経クロステックが加筆
陥没のメカニズム。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に日経クロステックが加筆
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 砂層の上を覆うように、土丹層と呼ばれる薄くて硬い粘性土層がある。この層が一時的に上からの土圧を支え、空隙の発生から陥没まで時間差が生じた。そのため、地表面の変位計測で地盤変異の予兆を捉えられず、裏込め注入量や泥水密度の見直しといった対応を早期にできなかった。