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 巨大な風船で上載荷重を支える構造を持つ「PS-Bridge(ピーエス・ブリッジ)」──。軽さと短工期を実現できる斬新な橋の導入に向けた検証が進んでいる。

PS-Bridgeの外観。桁の下に見える白く膨らんだ部分が空気圧を加えたチューブだ(写真:日経クロステック)
PS-Bridgeの外観。桁の下に見える白く膨らんだ部分が空気圧を加えたチューブだ(写真:日経クロステック)
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 取り組みを推進しているのは、土留めなどの仮設材を扱うヒロセと同社の持ち株会社であるヒロセホールディングスだ。両社は2020年9月3日、この新構造を持つ橋の試験施工の様子などを公開した。

 風船で荷重を支える橋とはどのような構造なのか。この橋で風船として用いるのは、ポリ塩化ビニルなどを用いて製造したチューブだ。チューブ内に空気を入れて膨らませ、大気圧よりも0.2気圧高い状態に保って使う。

 チューブの上には、チューブと平行にアルミ製の桁を設置。チューブの下には、鋼製ケーブルの引張材を配する。こちらは断面方向に2つずつペアにした3組の各チューブの中央下部にできる溝部分に挟み込む。そして、ケーブル両端はプレート材を介してアルミ桁の端部と接続する。

正面図(資料:ヒロセホールディングス)
正面図(資料:ヒロセホールディングス)
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チューブを用いた桁の設置図(資料:ヒロセホールディングス)
チューブを用いた桁の設置図(資料:ヒロセホールディングス)
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断面図(資料:ヒロセホールディングス)
断面図(資料:ヒロセホールディングス)
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 ここでチューブを膨らませると、桁と鋼製ケーブルは、それぞれチューブと密着。チューブに加わった力を伝達しやすくなる。橋の上部から加わった荷重によって、桁がある上部には圧縮力、ケーブルがある下部には引張力が作用する。これらの力は桁とケーブルの接合部で均衡して荷重を支える。公開した橋では載荷重として、25tクレーンが通行できる270kNを確保している。

乗用車3台が載った状態のPS-Bridge(写真:日経クロステック)
乗用車3台が載った状態のPS-Bridge(写真:日経クロステック)
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 空気圧を用いて荷重を支える仕掛けは、従来のトラス構造に似る。トラス構造では、上から作用した力を引張力と圧縮力に変換。各部材に軸方向の力を作用させている。

トラス構造と空気膜構造のイメージ(資料:ヒロセホールディングスの資料を一部加工)
トラス構造と空気膜構造のイメージ(資料:ヒロセホールディングスの資料を一部加工)
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