東京電力ホールディングスは、廃炉作業中の福島第1原子力発電所に最大で海抜16mの高さの防潮堤を新設する。日本海溝で巨大地震が発生した場合、建設中や設置済みの防潮堤を越える津波が来襲する恐れがあるためだ。2021年度に着工し、23年度の完成を予定している。
政府が20年9月14日に開いた原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会で、東電が防潮堤の新設方針を明らかにした。
東電は従来、切迫性が高いとみる千島海溝での巨大地震が発生した場合、最大で海抜10.3mの津波が来襲すると想定。19年9月以降、福島第1原発の1~4号機の東側沿岸部に海抜11mの防潮堤(延長600m)の建設を進めている。
4号機の南側には既に、日本海溝の外側で発生する可能性がある「アウターライズ地震」に備えて海抜11~12.8m(延長400m)の砕石積み(フィルターユニット)の防潮堤を完成させている。
しかし、内閣府の「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」は20年4月、日本海溝で巨大地震の発生が切迫していると指摘。日本海溝で発生した場合、福島第1原発がある福島県の双葉町と大熊町の沿岸部に、それぞれ最大で海抜13.7mと14.1mの津波が来襲すると予測した。