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 国土交通省九州地方整備局は、2016年の熊本地震で被災した国道57号の復旧と、並走するバイパス「北側復旧ルート」の新設を完了した。いずれも20年10月3日に開通する。北側復旧ルートでは、施工者のノウハウを詳細設計に取り入れる発注方式を直轄事業で初採用して早期開通につなげた。

国道57号北側復旧ルートの阿蘇市側。奥が二重峠トンネル(写真:国土交通省熊本河川国道事務所)
国道57号北側復旧ルートの阿蘇市側。奥が二重峠トンネル(写真:国土交通省熊本河川国道事務所)
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 北側復旧ルートの延長は約13kmで、阿蘇の外輪山を貫いて熊本市方面と阿蘇市を結ぶ。開通すると、同区間の所要時間が30分以上短縮する。

 同区間をつないでいた国道57号は、地震による大規模な斜面崩壊で寸断された。その結果、「ミルクロード」と呼ぶ迂回路に1日当たり1万5000台ほどの車が集中して混雑。通行に約43分かかっていた。

国道57号と北側復旧ルートが開通する。同じく熊本地震で被災した県道熊本高森線や村道栃の木~立野線は、大規模災害復興法に基づく国の直轄代行事業によって復旧を終えている(資料:国土交通省九州地方整備局)
国道57号と北側復旧ルートが開通する。同じく熊本地震で被災した県道熊本高森線や村道栃の木~立野線は、大規模災害復興法に基づく国の直轄代行事業によって復旧を終えている(資料:国土交通省九州地方整備局)
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 九州地整は、北側復旧ルートの20年度の開通を目指して急ピッチで事業を進めてきた。工程のネックになるとみられたのが、延長3659mの二重峠(ふたえのとうげ)トンネルだ。工期を短縮するため、「技術提案・交渉方式」のうち「技術協力・施工タイプ(ECI)」という発注方式を直轄事業で初めて採用した。詳細設計に入る段階で施工者となる会社(優先交渉権者)を決め、そのノウハウを設計に反映する仕組みだ。

 二重峠トンネルは当初、トンネルの両端から掘り進める計画だった。これに対し、施工者は先行して構築する避難坑を通じてトンネルの中央付近からも掘削する手法などを提案。最大5カ所で同時に掘り進め、着工から約1年8カ月の短期間で貫通させた。施工を担当したのは、安藤ハザマ・丸昭建設(熊本県人吉市)JVと、清水建設・福田組・松下組(熊本県芦北町)JVだ。

 「地元の協力を受けて用地をスムーズに取得できた点も、早期開通につながった」と、九州地整熊本河川国道事務所の鍬淳司工務第三課長は話す。北側復旧ルートの事業費は精査中として、明らかにしていない。