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 東京都は2020年10月1日、東京都心と臨海部を結ぶバス高速輸送システム「東京BRT」の運行を始めた。当初は20年5月24日に運行を始める予定だったが、新型コロナウイルスの拡大を受け延期していた。10月から始まったのは、22年度の本格運行に向けたプレ運行だ。運行開始の初日に記者が乗車し、通常のバスとの違いを探った。

 東京BRTは東京都から委託を受けて、京成バスグループが運行を担う。京成バスは19年7月、BRT運行のための100%子会社「東京BRT」を設立。京成バスが当面の運行を担い、本格運行では東京BRTが担当する。

晴海BRTターミナルを発着するバス。大量輸送のため、2車体をつないだ連節バスを導入した(写真:日経クロステック)
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晴海BRTターミナルを発着するバス。大量輸送のため、2車体をつないだ連節バスを導入した(写真:日経クロステック)

 プレ運行では、東京・虎ノ門と晴海を結ぶ。停留所は、虎ノ門ヒルズ、新橋、勝どきBRT、晴海BRTターミナルの4カ所だ。約5kmの道のりを30分ほどで走行する。料金は一律220円だ。

 本格運行時には全ての扉から乗り降り可能となるが、現状では料金未払いのリスクがあるため、プレ運行では前乗り後ろ降りとした。乗車する際にはICカードの利用を原則とする予定だ。ICカードを持っていない人は、停留所の券売機で乗車券を購入する仕組み。セキュリティー面も含めて検討段階にあり、プレ運行では券売機は設置していない。

プレ運行の走行ルート(資料:東京都都市整備局)
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プレ運行の走行ルート(資料:東京都都市整備局)

 稼働しているバスは全9台。いずれも新造した車両だ。そのうち2車体をつないだ連節バスは1台で、水素を燃料として走る燃料電池バスが5台、一般のディーゼル車が3台。連節バスの定員は113人と、通常サイズのバスと比較して1.5倍ほどの人員を輸送できる。連節バスの運転に特殊な技術は必要なく、通常バスと同じ大型2種免許で運転できる。

 記者はプレ運行開始時の10月1日に、「新橋」停留所から「晴海BRTターミナル」方面へ走る連節バスに乗車した。「新橋」停留所では、1時間に1本ほど連節バスが停車する。

記者は午後2時6分発の連節バスに乗車した。停留所の周辺には人が集まり、バスを撮影していた(写真:日経クロステック)
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記者は午後2時6分発の連節バスに乗車した。停留所の周辺には人が集まり、バスを撮影していた(写真:日経クロステック)

 座席は新橋停留所から乗車した客で半分以上が埋まり、その大半が家族連れやバスのファンだった。どの停留所にも、カメラを持ってバスを待ち構える人が見受けられた。初日は、移動を目的とした乗車というより、バスそのものを目的とした乗車が目立っていたように感じた。

 車内は広く快適だった一方で、速達性は感じられなかった。一般車道を走行する東京BRTは、通常のバスの時速と変わらない。前乗りであるため、乗り降りにかかる時間も従来と同じだ。

 記者が乗車したバスは、出発時刻の1分前には停留所に到着していた。運行ダイヤに余裕を持たせているのだろう。発着時間に誤差が生じるため、バスは使いづらい印象が大きかった。そのため、記者はこれまで都心から臨海部への移動に多少遠回りでも電車を使っていたが、今後は東京BRTの利用も選択肢に入りそうだ。

カーブ時の連節バス内部の様子。通常のバスと比べて、内輪差が大きい(写真:日経クロステック)
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カーブ時の連節バス内部の様子。通常のバスと比べて、内輪差が大きい(写真:日経クロステック)