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 国土交通省は、2020年7月の豪雨で熊本県南部の球磨川流域に生じた被害を検証する委員会で、川辺川ダムがあれば人吉市とその近隣地域の浸水面積を6割ほど抑えられたとする推計を示した。一方で、氾濫を完全には防げなかったと結論付けた。

人吉市街部の肥後銀行人吉支店付近。2020年7月豪雨での浸水深は約3.3mだった。川辺川ダムがあった場合、約0.9mまで低下する。20年7月7日に撮影(写真:日経クロステック)
人吉市街部の肥後銀行人吉支店付近。2020年7月豪雨での浸水深は約3.3mだった。川辺川ダムがあった場合、約0.9mまで低下する。20年7月7日に撮影(写真:日経クロステック)
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 球磨川支流の川辺川に整備する計画だった川辺川ダムは、住民や県の反対を受け、09年に建設中止を決定している。

 推計結果は、20年10月6日に開催した第2回委員会で明らかにした。国交省は、20年7月豪雨による人吉市付近の氾濫状況を再現する解析モデルを作成。シミュレーションしたところ、浸水面積は568.6haとなった。

 川辺川ダムがあった場合、浸水面積は223.3haと6割以上減らせる。特に、家屋の2階まで水が及ぶ浸水深さ3mを超える面積は約9割減少すると推計した。

 さらに国交省は、球磨川の各地点におけるピーク流量の推定結果を示した。ただし、氾濫に伴う流量減少の影響を排除するため、氾濫せずに流下したと想定して計算。その結果、人吉地点のピーク流量は毎秒約7400m3だった。川辺川ダムがあった場合、その洪水調節によってピーク流量は毎秒約4800m3に抑えられる。それでも、人吉地点の計画高水流量である毎秒約4000m3を上回る。

 この数値を基に、人吉地点の計画高水流量を超えて流下する水量を求めたところ、川辺川ダムがあると、約5200万m3から約600万m3へと9割ほど低減した。

2020年7月豪雨による浸水状況のシミュレーション結果から算出した、川辺川ダムの有無による浸水面積の増減。(資料:国土交通省九州地方整備局)
2020年7月豪雨による浸水状況のシミュレーション結果から算出した、川辺川ダムの有無による浸水面積の増減。(資料:国土交通省九州地方整備局)
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2020年7月豪雨において、川辺川ダムがあった場合の各地点のピーク流量(資料:国土交通省九州地方整備局)
2020年7月豪雨において、川辺川ダムがあった場合の各地点のピーク流量(資料:国土交通省九州地方整備局)
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