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 石油会社が資源エネルギー庁の補助金で実施した製油所の耐震化対策で、地震動を過小に評価していたことが分かった。会計検査院は2020年10月26日、対策を施した12カ所の製油所について、南海トラフ地震など大規模災害時に石油を安定供給できなくなる恐れがあると指摘。資源エネルギー庁に対し、適切な耐震性能を確保するため、石油会社への指導を徹底するよう求めた。

会計検査院は10社20製油所の耐震対策を調査し、そのうち12カ所で不備があったと指摘。資源エネルギー庁に対して「意見表示」した。写真はイメージで、記事の内容とは関係ない(写真:PIXTA)
会計検査院は10社20製油所の耐震対策を調査し、そのうち12カ所で不備があったと指摘。資源エネルギー庁に対して「意見表示」した。写真はイメージで、記事の内容とは関係ない(写真:PIXTA)
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 問題を指摘されたのは、資源エネルギー庁が実施している「石油供給インフラ強靱化事業」だ。大規模災害時にライフラインの機能を確保するため、製油所の耐震対策などに要する費用の3分の2を補助する。

 14年度から19年度までの間に、石油会社10社が計約329億円の補助金を受け、20カ所の製油所で430件の対策を講じた。そのうち、6社の製油所12カ所で実施した249件に不備が見つかった。

 強靱化事業が対象とする大規模災害の1つが南海トラフ地震だ。駿河湾から日向灘沖にかけての広い範囲を震源域とするため、複数の地震発生パターンが想定されている。

 そこで政府の中央防災会議は12年、過去にこの範囲で起こった地震と同じ場所を震源域とする「基本ケース」や、それよりも陸地側に近い場合の「陸側ケース」などを検討。それぞれのケースで発生し得る加速度などを算出し、「地震データ」としてまとめた。

 耐震対策では通常、地震データを用いて対策地点の地表面の加速度などを推定する。その際、複数のケースを比較して、作用する加速度の最大値を求める必要がある。しかし、資源エネルギー庁は加速度の具体的な設定基準などを明確に指示していなかった。

 会計検査院が調査した製油所のうち4カ所では、基本ケースと陸側ケースを比較したにもかかわらず、作用する加速度が小さい基本ケースの地震データを耐震対策に用いていた。