中日本高速道路会社が発注した橋の耐震補強工事で、橋台と上部工に増し打ちしたコンクリートの内部の鉄筋が8本不足していることが判明した。2020年9月24日に中日本高速が補強部分でひび割れを2カ所発見し、原因を調査していた。同社が20年11月4日に公表した。
施工不良が判明したのは、東京都日野市の中央自動車道をまたぐ「ロッキングピア形式」の緑橋だ。16年の熊本地震でロッキングピア形式の跨道橋が落ちたことを受け、高速道路会社などが同形式の橋の耐震補強を進めている。
中日本高速は、緑橋を含む同形式の7橋の耐震補強工事を大島産業(福岡県宗像市)に発注。橋脚と橋台を上部工に剛結する工事を、18年8月に開始した。
緑橋の補強工事は20年3月に完了した。その半年後の20年9月24日に中日本高速が緑橋を目視で確認し、補強部分に2カ所のひび割れを発見した。大きい方のひびは幅0.7mm、長さ1.6mに達していた。
翌10月に非破壊検査を実施し、直径16mm、長さ7090mmの鉄筋8本の不足が判明した。
中日本高速によると、大規模な地震に備えた補強なので、通常の車両走行に問題はないという。中央道本線へのコンクリート片落下を防ぐため、応急措置として防護ネットを張った。
今後、中日本高速が補強部分をはつり落として再施工する。費用は大島産業に請求する方針だ。「20年11月末までに再施工を終えたい」(中日本高速道路広報課)という。
もう一方の橋台の補強部分でもひび割れが見つかった。鉄筋が不足しているのかどうかなど詳細について、中日本高速は「調査中だ」として明らかにしていない。
大島産業が受注した他の6橋についても調査を進める。大島産業が提出した完成図書などの工事関係書類に不足があったため、中日本高速は再提出を指示した。
大島産業は11月5日にホームページ上で「今回の事態は、自社の施工管理が十分でなかったことにより発生したもの」と認めている。新たな調査結果が判明したら、改めて公表するという。