全2700文字

 コンクリートに関する世界最大の国際組織である国際コンクリート連合(fib)の次期会長に、日本の技術者が初めて選出された。三井住友建設の春日昭夫副社長(技術部門担当)だ。これまでに、橋で数多くの独創的なアイデアを生み出してきた春日次期会長がfibで目指す活動とは何か。日経クロステックの独占インタビューに応じてくれた。(聞き手は真鍋 政彦=日経クロステック/日経コンストラクション)

三井住友建設 副社長 春日 昭夫 氏
三井住友建設 副社長 春日 昭夫 氏
1957年生まれ。80年に九州大学工学部土木工学科を卒業し、住友建設(現在の三井住友建設)に入社。89年から1年間、テキサス大学に客員研究員として留学。数々の新構造形式の橋梁を世に生み出してきた。2021年1月1日から国際コンクリート連合(fib)の会長に就任する。任期は22年12月31日まで(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

2021年1月1日から2年間の任期で会長に選出されました。会長としてどのような活動に力を入れていく方針ですか。

 気候変動の原因となるCO2排出量を抑える「サステナビリティー」を軸とした活動に力を入れていきたいと思っています。まずは会長名で声明書を出す予定です。

 コンクリートはセメントや砂利、水を使って造りますが、製造、建設時に多くのCO2が排出されます。ローザンヌ工科大学のデータによると、セメントの用途の6割がコンクリート構造物です。fibは構造コンクリートに関係する会員が所属する国際組織で、会員はCO2の削減に資する技術を保有・提供しています。それを対外的にもっとアピールする必要があるのではないかと考えています。そこで、fibに低炭素コンクリートの委員会を新設して、情報の収集を加速させる予定です。

三井住友建設では、セメントを使用しない条件でも製造可能なコンクリート「サスティンクリート」を開発しています。

 そうですね。低炭素コンクリートには、高炉セメントやフライアッシュといった産業副産物から、火山噴出物のシラスまで、様々な材料を使うタイプがあります。ローマ時代まで遡ると、火山灰を海水で練ったコンクリートがあります。材料製造から施工、保全、解体、改築に至るまでの全プロセスで、低炭素の技術を活用してもらうことを、もっと明確に打ち出したいと思います。

 資材の調達から現場施工までの総CO2排出量を明確に算出できない会社は、仕事が取れない時代がやがて来るでしょう。そのため、建設の上流側から下流側のサプライヤーにfibの組織としてCO2の排出量を明らかにするよう訴えかける必要があります。日本政府は2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、今後は国内の建設業界でもCO2排出量の削減に向けた議論が急速に進むと思います。

セメントを使用しない鋼繊維入りのサスティンクリート(写真:三井住友建設)
セメントを使用しない鋼繊維入りのサスティンクリート(写真:三井住友建設)
[画像のクリックで拡大表示]