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 東北大学災害科学国際研究所とJX通信社は、SNS(交流サイト)に投稿された内水氾濫などの写真を位置情報と結びつけて被害を記録する「みんなでSNSマッピングプロジェクト」を始めた。ハザードマップや住民一人ひとりの防災行動計画「マイ・タイムライン」の作成に生かす。2020年11月6日に同プロジェクトのウェブサイトを公開した。

みんなでSNSマッピングプロジェクトのウェブサイト。豪雨災害が多発した2020年7月の1カ月間の投稿などから、水害の写真を自動で収集して地図上に落とし込んだ。アイコンをクリックすると元のSNSの写真を確認できる。AIを使ってSNSから災害情報などを収集するJX通信社の「FASTALERT(ファストアラート)」のサービスを利用する(資料:東北大学災害科学国際研究所、JX通信社)
みんなでSNSマッピングプロジェクトのウェブサイト。豪雨災害が多発した2020年7月の1カ月間の投稿などから、水害の写真を自動で収集して地図上に落とし込んだ。アイコンをクリックすると元のSNSの写真を確認できる。AIを使ってSNSから災害情報などを収集するJX通信社の「FASTALERT(ファストアラート)」のサービスを利用する(資料:東北大学災害科学国際研究所、JX通信社)
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 プロジェクトではまず、ツイッターに投稿された膨大な画像や文章を人工知能(AI)で分析し、対象とする豪雨による内水氾濫の被害を示す写真を抽出する。次に、おおまかな位置情報を基に写真を地図にひも付け、ウェブサイトで公開する。

 ツイッターなどのSNS上の写真は個人情報の保護などの理由で、正確な位置情報が入っていない。そこで、写真の正しい場所を、ウェブサイトを見た住民に確認や修正をしてもらって情報の精度を高める。写真から推定した浸水深などと組み合わせて、被害状況を明らかにする。

 一般的なハザードマップは、堤防の決壊や越水で生じる外水氾濫を対象に、地域ごとの浸水深などを示す。下水道などの排水能力を超える雨水が市街地に流入して起こる内水氾濫は、考慮しない場合が多い。外水氾濫に比べると被害の規模は小さいが、住民への周知が不十分なために被害が拡大する恐れがある。

 加えて、内水氾濫はポンプによる排水などで比較的早く復旧できるので痕跡が残りにくい。「記録や検証が難しいため、対策が進んでいない地域が多い」と、プロジェクトを総括する東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は話す。

 プロジェクトの初弾として、20年7月豪雨と19年の東日本台風の際に生じた内水氾濫などのデータを登録した。地図上のアイコンをクリックするとツイッターの画面に移動して写真を確認できる。写真の正確な場所を知っている利用者には、地図上でその位置を指定してもらう。

 集めた情報は今後、内水氾濫を対象としたハザードマップの作成などに役立てる。マイ・タイムラインの講習会で、住民に位置情報の確認の協力を求めていくことも検討中だ。

 (ウェブサイト:みんなでSNSマッピングプロジェクト