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 YKKなど4社は、水面下の既設橋脚などの補修・補強に必要な仮締め切りで、ファスナー付き防水シートを使ったライナープレート工法を共同開発した。潜水作業を大幅に減らし、大型機械に頼らずに施工できる。共同開発者はYKKの他、アザイ技術コンサルタント(堺市)とアジア海洋(東京・中央)、三国屋建設(茨城県神栖市)の3社だ。

ファスナー付きの防水シートをライナープレートに被覆している様子。仮留めを解除し、シートを1枚ずつ引き上げ、ファスナーで連結しながら全体を覆っていく(写真:YKK)
ファスナー付きの防水シートをライナープレートに被覆している様子。仮留めを解除し、シートを1枚ずつ引き上げ、ファスナーで連結しながら全体を覆っていく(写真:YKK)
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YKKなどが共同で開発した「仮締切防水シート工法」のイメージ。ライナープレートを3段ずつ環状に組み立ててから、水中に吊り下ろして枠を構築していく。最後に防水シートで外側を覆う(資料:YKK)
YKKなどが共同で開発した「仮締切防水シート工法」のイメージ。ライナープレートを3段ずつ環状に組み立ててから、水中に吊り下ろして枠を構築していく。最後に防水シートで外側を覆う(資料:YKK)
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 従来のライナープレートを使った仮締め切り工法では、潜水士がライナープレートを1枚ずつ水中で組み上げていた。新工法では、現場周辺に配置した組み立て台船の上で、ライナープレートを環状に組み立てる。

 3段分(高さ1.5m)を1セットに、チェーンブロックで水中に下ろす。3段ずつを接続するのは、潜水作業となる。

 ライナープレートの外側には、幅3~4mに分割した防水シートをファスナーで連結する。地上での組み立ての際、最下段の補強リング(H型鋼)の外周面に、防水シートの端部を取り付け、巻き取り状態で仮留めしておく。水中でライナープレートを所定の高さに構築後、潜水士は巻いていたシートを戻して、ファスナーを上げるだけで外側全体を被覆できる。

防水シートは下段の補強リングに取り付ける。巻き取って仮留めの状態で水中に設置。最後に潜水士が引き上げて被覆する(写真:YKK)
防水シートは下段の補強リングに取り付ける。巻き取って仮留めの状態で水中に設置。最後に潜水士が引き上げて被覆する(写真:YKK)
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 連結用ファスナーにはYKKの「AQUASEAL(アクアシール)」を採用した。ウエットスーツや浅瀬で着用するセミドライスーツなどに使われる防水ファスナーで、気密性や柔軟性は高い。

ファスナーで連結する仕様の防水シート。ファスナーはウエットスーツなどにも使われる「AQUASEAL(アクアシール)」を採用(写真:YKK)
ファスナーで連結する仕様の防水シート。ファスナーはウエットスーツなどにも使われる「AQUASEAL(アクアシール)」を採用(写真:YKK)
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アクアシールはポリアセタールやナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂を熱で溶かし、高い圧力をかけて成型した防水ファスナーだ。滑りが良く、高い気密性や柔軟性を備えている(写真:YKK)
アクアシールはポリアセタールやナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂を熱で溶かし、高い圧力をかけて成型した防水ファスナーだ。滑りが良く、高い気密性や柔軟性を備えている(写真:YKK)
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