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 兵庫県姫路市は、2年続けて台風で崩壊した民有地の斜面について、市が実施した対策工事にかかった費用約4170万円を地権者20人に請求する。地権者全員の合意が得られなかったため、民事調停を申し立てる考えだ。安全確保の義務を負う地権者が十分な対策をしないため、市が代わりに工事を実施した。

2016年と17年の台風で2度崩壊した八丈岩山の斜面。既に対策工事を終えている(写真:姫路市)
2016年と17年の台風で2度崩壊した八丈岩山の斜面。既に対策工事を終えている(写真:姫路市)
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位置図。崩壊箇所は姫路市辻井8丁目に位置する(資料:姫路市)
位置図。崩壊箇所は姫路市辻井8丁目に位置する(資料:姫路市)
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 問題となっているのは、市内にある「八丈岩山」の裾野に位置する斜面だ。2016年9月の台風で一部が崩壊して土砂が市道に流出。市はこれを受け、地権者に対し、斜面を適切に管理して防災対策を実施するよう要請していた。しかし、十分な対策が行われないまま、17年10月に再度、土砂崩れが起こった。

 市は、このままでは今後も崩壊が起こる可能性が高いと判断。対策工事の実施を決めた。

 急傾斜地法を適用すれば、自治体の費用負担によって対策工事を実施できる。しかし、崩壊した箇所は1970年代に宅地造成された人工斜面なので、自然斜面に限定している同法の適用対象外だ。

 そこで、民法で規定する「事務管理」の適用に踏み切った。事務管理とは、対象者の利益になる行為ならば、委託を受けなくても第三者が代行できると定めた制度だ。代行にかかった費用の請求も認められている。防災対策などの工事に事務管理を適用する例は全国でも珍しい。

 市は、地権者に費用負担を求めると事前に伝えていた。その時点で、具体的な金額を提示していたのかどうか、市は明らかにしていない。工事期間中に一部の地権者から費用負担について提案があったが、全員の意見がまとまらず合意には至らなかった。