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東電設計など4者は、既設のプレストレスト・コンクリート(PC)桁内に配したPC鋼材の緊張力を桁表面のひずみやひび割れ幅から推定する手法を開発した。劣化状態を定量的に把握し、維持管理の効率化につなげる。東京理科大学の加藤佳孝教授、高速道路総合技術研究所、飛島建設との共同研究を通じて実用化した。
PC桁は一般に、引張力が作用する下フランジ側にPC鋼材を配置して緊張・定着する。コンクリートにあらかじめ圧縮応力を与えることで、引張応力によって発生するひび割れを制御する仕組みだ。
しかし、経年劣化や腐食でPC鋼材の緊張が緩むと、下フランジ側のコンクリート表面にひび割れが発生する。普段は圧縮応力が作用して閉じているが、大型車両の荷重によって引張応力が卓越すると開く。
東電設計などは、ひび割れが開いた箇所のコンクリートの圧縮応力がゼロになる点に着目した。その瞬間の桁の断面力をコンクリート表面のひずみから算出。シミュレーション解析の入力条件に設定し、圧縮応力がゼロになるような緊張力を逆算して求める。
解析の計算に必要な計測値は、下フランジに発生した橋軸直角方向のひび割れの幅と、コンクリート表面のひずみだけだ。ひび割れ幅はπ(パイ)形変位計を、ひずみはフランジに取り付けたひずみゲージをそれぞれ用いて取得する。長期的な監視などが必要な場合は、π形変位計の代わりに光ファイバーを使用する。