宇都宮市などが進めるLRT(次世代型路面電車)の軌道整備(延長14.6km)で、事業費が当初見込みを約5割上回る684億円に増えることが分かった。開業予定も約1年遅れ、2023年3月となった。市が21年1月25日に発表した。
当初の事業費458億円から226億円増えた。項目別では、宇都宮市内の軟弱地盤への対応で47億円、用地取得で31億円といった増額が目立つ。
LRT事業で新たに取得する用地の面積は、当初の9万4100m2から28%増えて12万m2となった。軌道の用地の他、道路拡幅のための用地も取得している。例えば、栃木県道への軌道敷設で車道が減るのを補うため、既存の歩道を車道に転換できるよう、沿道の民有地を新たな歩道の用地として確保した。
開業遅延については、用地取得の遅れが主な原因となった。市建設用地室によると、新型コロナウイルスの感染拡大で、市職員が地権者と対面して交渉することが困難になった影響が大きいという。「交渉に応じる意向が分かっている地権者とは電話や書面での交渉が可能だが、そうでない地権者とはまず対面して話し合う必要がある」(同室)