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 大東建託とグリッドデータバンク・ラボ(東京・千代田)は、建設現場で使用している電力量を把握して作業の有無を推測する手法を共同開発した。電力使用量と位置情報を無線などで伝送する「スマートメーター」を使う。複数の現場を見比べて、効果的な人材配置の検討などに役立てる。

左は現場の稼働状況を把握する従来手法。屋内の作業状況などが分からなかった。右はスマートメーターが30分ごとに記録した時刻歴の電力使用量。電力が使われている時間帯は何らかの作業を実施していると推察される(資料:大東建託、グリッドデータバンク・ラボ)
左は現場の稼働状況を把握する従来手法。屋内の作業状況などが分からなかった。右はスマートメーターが30分ごとに記録した時刻歴の電力使用量。電力が使われている時間帯は何らかの作業を実施していると推察される(資料:大東建託、グリッドデータバンク・ラボ)
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 大東建託が手掛ける建設現場は常に、2000~3000カ所に上る。同社の管理部門は従来、現場内に設置したカメラの映像や日報、入退場記録を見て、現場ごとに作業の有無や状況を把握していた。確認に手間がかかる他、作業の様子がカメラに映らなかったり日報の記入にミスがあったりして、正確に把握できないといった課題があった。

 開発した手法では、現場に設置したスマートメーターで作業の有無を推測する。大東建託などは、アパートを建設中の8つの現場を対象にした実証実験で、3カ月にわたって電力使用量を分析。実際に作業していた31日のうち、30日で作業があったと検知した。見逃した1日は、ゴミ出しなど電気を使わない軽作業を実施していた日だった。カメラを使った従来手法では、作業を検知できたのは3日だけだった。

 現場ごとの稼働状況を地図上に示せば、それぞれの繁閑に応じて適切にサポートできる。入退場記録の改ざんによる長時間労働なども防げる。電力使用量は人員や機材などに左右されるため、データの蓄積が進めば、具体的な作業内容を読み取れる可能性もある。大東建託安全管理部環境指導課の佐藤拓也氏は、「現場の状況を精度よく把握すれば、働き方改革につなげられる」と期待する。

スマートメーターが計測したデータを基に、作業があったと推測される現場を赤のアイコン、それ以外を黒のアイコンで地図上にプロットした。稼働率が高い現場に応援を出すといった使い方が考えられる。図はイメージ(資料:グリッドデータバンク・ラボ)
スマートメーターが計測したデータを基に、作業があったと推測される現場を赤のアイコン、それ以外を黒のアイコンで地図上にプロットした。稼働率が高い現場に応援を出すといった使い方が考えられる。図はイメージ(資料:グリッドデータバンク・ラボ)
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