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 福島県会津若松市へ向かう列車の脱線事故を引き起こした線路脇の斜面崩壊は、斜面上部の県道に埋設された鉄筋コンクリート製水路からの漏水が原因だったと分かった。

 水路の管理者や埋設経緯は不明。長年放置された状態で老朽化し、破損していた。事故を調査した運輸安全委員会が2021年2月18日に公表した報告書で明らかになった。

会津鉄道の列車が2019年11月、線路脇の斜面から流入した土砂に乗り上げて脱線した(写真:運輸安全委員会)
会津鉄道の列車が2019年11月、線路脇の斜面から流入した土砂に乗り上げて脱線した(写真:運輸安全委員会)
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事故現場の様子。線路脇の斜面が幅約10m、高さ約6mにわたって崩壊した。複数箇所で水が勢いよく流れていた。斜面には崩落を防ぐ防護工などが施されていなかった(資料:運輸安全委員会)
事故現場の様子。線路脇の斜面が幅約10m、高さ約6mにわたって崩壊した。複数箇所で水が勢いよく流れていた。斜面には崩落を防ぐ防護工などが施されていなかった(資料:運輸安全委員会)
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 報告書によると、事故が起こったのは2019年11月27日午前5時50分ごろ。会津鉄道の2両編成の列車が下郷町内を時速約60kmで走行中、運転士が前方の線路に流入していた土砂を発見。非常ブレーキをかけたが間に合わず、土砂に乗り上げて、先頭車両が脱線した。列車には乗客と乗員が合わせて12人乗っていたが、負傷者はいなかった。

 事故当時、線路脇の斜面は幅約10m、高さ約6mにわたった崩壊していた。線路に流入した土砂がレール頭頂面の高さまで堆積。崩壊した斜面では、複数箇所で水が勢いよく流れていた。現場付近の地層は砂れきや玉石、転石が積み上がった崩積土層だ。有機質粘土とれき混じり凝灰質砂の付近で流水が生じていた。斜面に防護工などは施されていなかった。

 斜面は会津鉄道が所有し、2年に1回の頻度で定期検査を実施。直近の18年11月の検査で斜面に異常を確認していなかった。

事故現場付近の状況(資料:運輸安全委員会)
事故現場付近の状況(資料:運輸安全委員会)
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事故当時の水路の敷設状況。山側からの水は県道の集水升に流れ込み、地下の水路を通って線路側の斜面から地表に出る。その後、斜面のU字溝を通り、軌道下を横切って、河川(阿賀川)に放流される(資料;運輸安全委員会)
事故当時の水路の敷設状況。山側からの水は県道の集水升に流れ込み、地下の水路を通って線路側の斜面から地表に出る。その後、斜面のU字溝を通り、軌道下を横切って、河川(阿賀川)に放流される(資料;運輸安全委員会)
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