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 リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、東京地裁と公正取引委員会から独占禁止法違反と認定された大成建設が態度を硬化させている。

 大成建設は、東京地裁が2021年3月1日に下した有罪判決を不服として、同日に東京高裁への控訴を示唆。併せて、公取委が20年12月22日に出した排除措置命令の取り消し訴訟を提起したと明らかにした。

リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、東京地裁は2021年3月1日、大成建設と鹿島に有罪判決を言い渡した(写真:日経クロステック)
リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、東京地裁は2021年3月1日、大成建設と鹿島に有罪判決を言い渡した(写真:日経クロステック)
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 公取委は18年3月、JR東海が発注した品川駅と名古屋駅の新設工事を巡って受注調整したとして、大成建設と鹿島、大林組、清水建設の大手建設会社4社と、談合を否認した大成建設と鹿島の元幹部2人を刑事告発。東京地検が同日、4社と2人を起訴した。起訴内容を認めた大林組と清水建設は既に有罪が確定している。

 対照的に、大成建設と鹿島は刑事裁判で一貫して無罪を主張。JR東海の意向で受注者が事実上決まり、独禁法上の競争がそもそも存在していなかったと訴えた。

 東京地裁は判決で、JR東海の恣意的な受注者決定を否定する一方、見積もり情報などを交換していた4社の行為を受注調整に当たると認定。大成建設と鹿島に罰金各2億5000万円、元幹部2人にそれぞれ懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。