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 リニア中央新幹線静岡工区の環境問題を議論する国土交通省の有識者会議が、トンネル工事に伴う大井川の流量減少などを懸念する地元との調整に乗り出す可能性が出てきた。

 国交省が2021年2月28日に開いた第9回の会合で、座長を務める中央大学研究開発機構の福岡捷二教授がこれまでの検討内容を利水者らに直接説明する考えを表明した。国の有識者会議が地元調整に関わる異例の決断だ。

国土交通省は2021年2月28日、リニア中央新幹線静岡工区の環境問題を議論する有識者会議の第9回会合を開催。中間取りまとめの方針と素案を示した(写真:国土交通省)
国土交通省は2021年2月28日、リニア中央新幹線静岡工区の環境問題を議論する有識者会議の第9回会合を開催。中間取りまとめの方針と素案を示した(写真:国土交通省)
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 大井川上流の直下にトンネルを建設する静岡工区では、JR東海と県が環境問題で対立。県が本格着工を認めず、JR東海が計画した27年開業が遅れる見通しだ。国交省は事態の打開に向け、20年4月に有識者会議を設置。これまでに会合を9回開き、トンネル工事に伴う大井川の流量や地下水への影響を議論してきた。

 第9回の会合では、国交省が有識者会議として中間取りまとめを行う方針を説明。これまでの検討結果をまとめた素案を示した。

 素案には、「トンネル湧水の全量を導水路トンネルなどで大井川に戻せば、中下流域での河川流量は維持される」「中下流域の河川流量が維持されれば、トンネル掘削による大井川中下流域の地下水量への影響は極めて小さい」などと明記した。

 この国交省の方針に、県有識者会議の委員を務める静岡大学客員教授の森下祐一委員が「有識者会議が前面に出るかのような話だ」と発言。

 「有識者会議としてまとめるとなると、地元との交渉に出ることも考えられる。しかし、それはJR東海や鉄道局(国交省)が責任を持って行うことではないか。有識者会議の委員の委嘱状にあるように、会議の役割はJR東海への助言だ」と異論を唱えた。