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 ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)は国土交通省港湾局との連携で、藻場の保全活動で創出した二酸化炭素(CO2)の吸収量を「Jブルークレジット」として認証し、CO2削減を図りたい企業とクレジット取引を行うカーボン・オフセット制度を試行した。セブン-イレブン・ジャパンなど3社がクレジットを購入している。

横浜市金沢区の鳥浜地先の藻場。保全活動によって繁茂するアカモク。2021年1月20日撮影(写真:渡邉 敦)
横浜市金沢区の鳥浜地先の藻場。保全活動によって繁茂するアカモク。2021年1月20日撮影(写真:渡邉 敦)
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 沿岸域の藻場など生態系が吸収して固定化した炭素をブルーカーボンという。海藻や海草などは陸上の生態系と比べて寿命が短いものの、枯れても泥の中に堆積していくので、数百年単位で有機炭素を固定化する。また森林と違って山火事によるリスクがない。それらの理由から、新たなCO2吸収源として注目を集めている。

カーボン・オフセット制度のイメージ(資料:ジャパンブルーエコノミー技術研究組合)
カーボン・オフセット制度のイメージ(資料:ジャパンブルーエコノミー技術研究組合)
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 今回、クレジットの対象となった場所は、横浜港にある横浜ベイサイドマリーナ横の約16ヘクタールの藻場だ。国交省関東地方整備局が09~12年度に造成。その後、横浜市漁業協同組合や海辺つくり研究会、金沢八景-東京湾アマモ場再生会議が、様々な活動によって藻場を保全し続けてきた。そのうち、ドローンの撮影によって藻場の面積が把握できた17年度における1年間のCO2吸収量を算出した。

横浜市金沢区鳥浜地先における藻場(資料:国土交通省)
横浜市金沢区鳥浜地先における藻場(資料:国土交通省)
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 JBEが運営事務局となり、第三者機関による審査認証委員会を設けて審査・認証した。発行量は22.8(t-CO2)。JBEが申請した50.8(t-CO2)の半分程度だ。海の中の不確実性などを踏まえて係数を設定し、過剰な評価をしないよう配慮した。

 Jブルークレジットの購入者は、住友商事、東京ガス、セブン-イレブン・ジャパンの3社だ。総量配分方式を採用しており、購入金額に応じてクレジットの発行量を案分する。JBEなどは各社のクレジットの購入金額について明かしていない。

 ただし、大まかな類推は可能だ。購入申込額として1企業当たり10万円以上を条件としている。つまり、3社で最低でも30万円だ。総発行量が22.8(t-CO2)なので、1t当たりに換算すると1万3000円以上になる。「森林吸収におけるJ-クレジットと比べても取引価格は高い」。JBEの理事長である海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所の桑江朝比呂沿岸環境研究グループ長はこう話す。

 クレジット購入の申込者の公募期間は1週間と短く、周知も十分ではなかったにもかかわらず、3社以外にも購入を希望した企業が複数社あったようだ。