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 上関大橋(山口県上関町)で15年前に見つかった重大な損傷を山口県が公表していなかった問題で、県は橋の重要性や損傷の程度に応じた点検結果の公表基準を策定した。日経クロステックがこの問題を2021年2月16日に初めて報じた後、地元の新聞やテレビが相次いで報道。県議会の一般質問でも県の姿勢を疑問視する声が上がったため、阿部雅昭・山口県土木建築部長が「公表基準を定めて、適時、点検結果を公表する」と言明していた。

公表基準策定のきっかけとなった山口県の上関大橋。路面に約20cmの段差が生じる事故が起こった後、対策工事が終わるまで片側交互通行を続けていた。2021年3月26日に交通規制を全面解除した(写真:日経クロステック)
公表基準策定のきっかけとなった山口県の上関大橋。路面に約20cmの段差が生じる事故が起こった後、対策工事が終わるまで片側交互通行を続けていた。2021年3月26日に交通規制を全面解除した(写真:日経クロステック)
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 山口県は21年3月30日に公表基準を明らかにした。I(健全)~IV(緊急措置段階)の4段階の健全度など基本的な点検結果は、全ての橋で公表する。部材ごとの健全度や主な部材の損傷状況といった詳細な情報については、長大橋や離島架橋など「特に重要な橋」で健全度II以上、その他の橋でIII以上の場合に公表する。

 県が管理する4319橋のうち、詳細情報を公表する橋は1869橋に上る。21年5月末から順次、公表を進めていく。

山口県が策定した橋の点検結果の公表基準。濃いグレーに相当する橋では、部材ごとの健全度や主要部材の損傷状況、補修の履歴と予定など、詳細な情報を公表する(資料:山口県)
山口県が策定した橋の点検結果の公表基準。濃いグレーに相当する橋では、部材ごとの健全度や主要部材の損傷状況、補修の履歴と予定など、詳細な情報を公表する(資料:山口県)
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 基準策定のきっかけとなった上関大橋は、室津半島と長島を結ぶ長さ220mのプレストレスト・コンクリート(PC)箱桁橋だ。20年11月14日に室津側の桁端部が突然跳ね上がり、路面に約20cmの段差が生じた。橋台上の桁端部にかかる上向きの力に対抗する鉛直PC鋼棒の破断が原因だ。