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 東京外かく環状道路(外環道)の大深度トンネル工事に伴う地上の陥没事故で、発注者の東日本高速道路会社は2年かけて地盤改良工事を実施し、トンネル直上にできた地盤の緩みを補修する。補修範囲の延長は、掘進したトンネルに沿って約350mに及ぶ。幅はシールド機の外径と同じ約16mだ。東日本高速が2021年4月2日、東京都調布市内で開いた住民説明会で明らかにした。

 トンネル坑内から上向きに薬液注入する他、地上からも薬液注入工法や機械撹拌(かくはん)工法、高圧噴射撹拌工法などを組み合わせる。補修範囲には約40棟の住宅がある。必要な調査や施工を実施するため、東日本高速は仮移転を求める。住宅をいったん解体、撤去して補修工事を実施した後、再建する。

 一連の費用は東日本高速が負担する。土地や建物の買い取りを求める住民には、個別に対応する。同社は今後、仮移転や買い取りに応じた住宅の数や場所を踏まえ、最適な補修工法を選択するとみられる。

東日本高速は陥没事故の発生後、周辺の住宅地を通る市道を通行止めにして、10カ所以上でボーリング調査などを実施した。2020年11月撮影(写真:日経クロステック)
東日本高速は陥没事故の発生後、周辺の住宅地を通る市道を通行止めにして、10カ所以上でボーリング調査などを実施した。2020年11月撮影(写真:日経クロステック)
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地上からの施工を想定する地盤改良工法。東日本高速は今後、具体的な工法を詰める(資料:東日本高速道路会社)
地上からの施工を想定する地盤改良工法。東日本高速は今後、具体的な工法を詰める(資料:東日本高速道路会社)
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 地盤改良による補修工事は、以下に挙げる3つのいずれかに該当する区間が対象となる。

 1つ目は、夜間の掘進休止後にシールド機のカッターが回転不能に陥り、閉塞を解除しようとして起泡溶液を注入しながらシールド機のチャンバー内に沈降した土砂の一部を取り込むなどした区間。有識者委員会(委員長:小泉淳早稲田大学名誉教授)はこの際、シールド機の内外で土圧のバランスが崩れてチャンバー内に土砂が過剰に流入し、地山に緩みが生じたと推定する。施工者の鹿島・前田建設工業・三井住友建設・鉄建建設・西武建設JVは20年8月から陥没が発生した直前の同年10月まで、計16カ所でこの作業を実施していた。

 2つ目は、事故後のボーリング調査によってN値の低下が見つかった区間。3つ目は、微動アレイ調査などの物理探査で、不規則な計測波速度の低下が確認された区間だ。

地盤改良による補修の予定範囲。緑の点線で示した南行き本線トンネルのシールド機は南(図の左)から北(右)に向かって掘進し、20年10月18日に陥没が生じた時点で停止している。黒の点線で示した北行き本線トンネルのシールド機はまだ通過していない。ボーリング調査地点「12」より南側は、微動アレイ調査などで観測した振動の伝わる速度が速く、地盤に緩みはないと判断した(資料:東日本高速道路会社)
地盤改良による補修の予定範囲。緑の点線で示した南行き本線トンネルのシールド機は南(図の左)から北(右)に向かって掘進し、20年10月18日に陥没が生じた時点で停止している。黒の点線で示した北行き本線トンネルのシールド機はまだ通過していない。ボーリング調査地点「12」より南側は、微動アレイ調査などで観測した振動の伝わる速度が速く、地盤に緩みはないと判断した(資料:東日本高速道路会社)
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