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 熊本市内にある池上と谷尾崎の2地区の宅地で地盤沈下が生じた問題で、原因究明が遅れていた谷尾崎地区の沈下も橋脚工事の影響だったと分かった。専門家会議(会長:北園芳人・熊本大学名誉教授)の答申を受けた市が、2021年4月7日に発表した。池上地区については、同会議が21年1月21日に公表した中間取りまとめで、工事との因果関係を認めていた。

谷尾崎高架橋下部工(P3)の施工でたて坑内に湧き出た地下水をくみ上げているところ。くみ上げは2020年9月2日に終わった。施工者は大豊建設・シスニック(熊本市)JVで、21年4月30日に完成予定だ(写真:熊本市)
谷尾崎高架橋下部工(P3)の施工でたて坑内に湧き出た地下水をくみ上げているところ。くみ上げは2020年9月2日に終わった。施工者は大豊建設・シスニック(熊本市)JVで、21年4月30日に完成予定だ(写真:熊本市)
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 地盤沈下が生じた2地区は、いずれも市が発注した熊本西環状道路の工事現場に近い。池上地区は池上インター橋(橋長51m)の下部工(P15)の現場から北に約50m、谷尾崎地区は谷尾崎高架橋(同508m)の下部工(P3)の現場から南東に約200mそれぞれ離れた場所に位置する。

 どちらの下部工現場でも深礎杭を設けるためのたて坑の掘削工事に着手すると、やがて湧水が発生。それぞれの施工者がくみ上げ作業を進めたところ、地盤沈下が生じた。池上地区では20年2月に、谷尾崎地区では20年5月に住民が市に通報した。

■宅地の地盤沈下は2カ所とも橋脚工事が原因と認められた
■宅地の地盤沈下は2カ所とも橋脚工事が原因と認められた
熊本市の資料に日経クロステックが加筆
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 市は専門家会議を設置して、地盤沈下の原因の究明や対策の検討に取り組んだ。工事現場との距離が短く、沈下した宅地の規模が比較的小さい池上地区についての結論が先に出た。池上のP15工事現場での地下水くみ上げによって、同地区地下の腐植土層と粘性土層が圧密沈下したと認めた。